上昇気流に乗り切れない中日に朗報だ。右肘手術からの再起を期す吉見一起投手(29)が24日、ナゴヤ球場で術後2度目のシート打撃に登板し、順調な回復ぶりをアピールした。実戦復帰の舞台が、5月1日ウエスタン・リーグ、オリックス戦(ナゴヤ球場)に正式決定。5月末の1軍復帰がクッキリと見えてきた。

 竜のエースが着実に復帰ロードを踏みしめた。右肘手術からの再起を期す吉見がナゴヤ球場で術後2度目のシート打撃に登板した。試合のイニング間を想定し、5分間の間隔を設定するなど実戦さながらのマウンド。打者計13人に50球を投げて3安打4奪三振と安定感はさすがだ。

 前回16日のシート打撃からギアを上げた。コントロール重視だった1度目から、点を取られないことに頭をシフト。走者を背負った際のセットポジションや、新たに取り組んでいるチェンジアップを入念にチェックした。マウンドから打者の反応を見て「いろんなケースを想定して投げられた。抑えにいきました」と表情は明るい。

 問題なくハードルをクリアし、5月1日の2軍オリックス戦(ナゴヤ球場)での実戦復帰が正式に決定した。まずは1イニングの予定。真剣勝負の場は昨年5月7日のヤクルト戦(神宮)で途中降板して以来、およそ1年ぶりとなる。試合から遠ざかり勝負に飢えた男は「ドキドキ感とワクワク感を持って試合に投げたい」とまるで試験を受ける受験生の気分だ。

 1軍の台所事情は苦しい。確定しているローテは現在5人。先週はカブレラが中4日で回り、今週の阪神3連戦は山井、川上、岡田が中5日で登板している。今日25日ヤクルト戦1戦目は、中継ぎの朝倉が配置転換された。友利投手コーチは「まだ(試合で)投げられるようになっただけ」と焦らせるつもりは毛頭ないが、順調なエースの調整は朗報だ。

 頭に描いたスケジュールにズレはなさそうだ。1イニングから登板回を増やし、交流戦中の5月29日オリックス戦(ナゴヤドーム)を1軍復帰の舞台に設定している。球界屈指のコントロールから「精密機械」と言われる背番号19。調整も狂いがない。【桝井聡】

 ◆吉見の経過

 昨年5月7日のヤクルト戦で右肘の違和感を訴え降板。同21日に球団から右肘内側靱帯(じんたい)の再建手術を受けると発表され、6月4日に名古屋市内の病院で通称トミー・ジョン手術を受けた。今春キャンプは2軍スタート。2月15日には術後初めてのブルペン投球を開始。捕手を立たせたままだったが33球を投げた。4月16日には1度目のシート打撃登板。打者8人に対して35球を投げた。