「格より調子」で9連戦を乗り切る。巨人は2日、9連戦の皮切りとなる3日からの中日戦に向け、新幹線で名古屋へ移動した。慢性的な首痛で1日の試合を途中交代した阿部をはじめ、主力の坂本、アンダーソンも体調に不安を抱えている。原辰徳監督(55)は、コンディションのいい選手を優先して起用することを明言。選手の名前に頼らず、一丸で黄金週間を戦う。

 新横浜駅のホームに、阿部がいつもの元気で現れた。前日の試合で首痛が悪化し、険しい顔で交代した姿とは別人だった。「患部に注射を打って、だいぶ良くなった」と、首をグルンと回した。「明日の見出しは決まったね。『阿部、いける!』だよ」と、慎之助節で新幹線に乗り込んだ。

 大事に至らなかったのは何よりでも、原監督は当然、9連戦への危機管理を施していた。「登録するかは別として、加藤を呼びました。(阿部の状態を)戻す、上げる必要があるなら、その時は考える」と、阿部の抹消まで視野に入れて“捕手4人制”を敷いた。

 阿部が交代すれば、ルーキー小林がソツなく仕事をする。1日の試合では、首痛の坂本に代えて井端を起用。下半身に張りのあるアンダーソンも早々に下げ、4番に松本哲を入れた。出番を待ちこがれ、役割を全うする面々を原監督は「みんな、よく準備してくれている」と評し、続けた。

 原監督

 コンディションが悪いのであれば、いい人で戦う方が、チーム力が上がる。僕はそう思ってるし、そうする。アンダーソンがダメなら由伸に松本、矢野。坂本もそう。井端も、藤村だっているんだ。

 すぐさまスタメンに取って代われなければ、巨人の1軍ベンチには入れない。逆に言えば、少しでもスキを見せれば、巨人のスタメンは張れない。あくまでも調子を最優先して、9連戦に臨む。

 原監督は阿部に全幅の信頼を置くからこそ、こんなハッパを掛けた。「打てていないからね。まだ、小さなおむすびだね。パクッと食べられちゃうくらいでしょ」。打率2割1分8厘、4本塁打、6打点では誰も納得しない。元気はもちろん、調子そのものを上げてほしいと願っている。【宮下敬至】