<ソフトバンク4-2阪神>◇23日◇ヤフオクドーム

 博多っ子の度肝を抜く豪快すぎるあいさつだった。守備位置につくソフトバンクの強打者たちはまるで動かない。左翼上空を舞う白球をただ見上げるだけだ。阪神の4番マウロ・ゴメス内野手(29)がダイヤモンドを堂々と1周。プレーボール直後の1回2死一塁で名刺代わりの一撃を放った。

 先発岩崎が投じた甘いスライダーを容赦なく強振。2試合連続の9号先制2ランは12球団の本拠地でもっとも高い5・84メートルのフェンスも軽々と越えた。「真ん中あたりに甘く入ってきたスライダーを、しっかりと1球で仕留められた。早いイニングで先制できてよかったね」。21日オリックス戦の9回には決勝本塁打。中1日での“2打席連続弾”は来日初めてだった。

 「打てる球をしっかりたたくように心掛けていた。それができたね。ああいう形で、甘い球が来たら、いこうと思っていた」

 スロースターターのジンクスも破った。これまで1回の打席は22打数1安打、打率4分5厘と振るわなかった。打席を追うごとに好打が出る傾向だが、この日ばかりは初回に最高の結果を残した。だが「その後は相手にうまくやられた」と反省する。3回の一邪飛の後は2度、変化球に体勢を崩されて空振り三振。加点できずに逆転負け…。振り返れば、試合開始7分後の一撃だけが、この日の得点になってしまった。

 セ・リーグ全球団から本塁打を放ち、交流戦も当たりは止まらない。オリックスに続き、タカ軍団にもアーチを浴びせた。早くも7球団目。パ・リーグとの戦いは「日本球界制覇」の旅になりそうな予感も漂ってきた。【酒井俊作】

 ▼ゴメスが1回の第1打席に本塁打。前試合まで1回には、22打数1安打で打率4分5厘と苦戦していたが、ようやく初アーチ。また第1打席も前試合まで42打数7安打の打率1割6分7厘と低調だったが、5月18日DeNA戦(甲子園)以来2本目の本塁打となった。