<巨人0-4楽天>◇28日◇東京ドーム

 星野監督!

 打ちました!

 楽天西田哲朗内野手(22)が5回1死二塁、3号2ランを放ち、チームの勝利に貢献した。26日に星野仙一監督(67)が腰痛で欠場してから2試合目、何よりの良薬であるだろう白星を届けた。同監督が今季の飛躍を期待していた西田が、一振りで、同監督の宿敵巨人を倒した。

 打球も、ひた向きな西田のプレースタイルそのままに、一直線に伸びていった。2-1からのスライダーを強振し、ライナーで左翼ポールに直撃させた。貴重な追加点となる2ランに「星野監督も絶対見てくれていると思うので、1本出て本当に良かった!」と声を弾ませた。テレビ観戦する星野監督には、何よりのプレゼントになったはずだ。

 同監督が、今季最も期待する若手が西田だ。高い身体能力を買い、遊撃スタメンで起用してきた。休養前の25日ヤクルト戦では3番に抜てき。その西田が、同監督の宿敵を倒す一打を放った。22歳は「監督が帰ってくるまでに、順位を上げて、クライマックスを戦えるようにしていたい」と、孝行息子になることを宣言した。

 「ここ5試合で(19打数)2安打しか打っていない」と、気持ちは少し沈んでいた。いい当たりは野手の正面に飛んでしまう悪循環が続いた。平石打撃コーチに相談し、気持ちも体も楽に打席に入ることに取り組んだ。「いろいろ意識しながら練習をしていました。その成果が出て良かったです」と、同コーチへの感謝を口にした。同コーチは「今年は試合の入り方が良くなった。しっかりと準備して、試合に臨んでいます。それが一番の成長ですね」と、日々の課題に真正面から向き合う、丁寧な取り組み方を評価した。その備えが結果となった。

 本塁打はプレゼントの返礼でもあった。球場に来ると、関係者から紙袋を渡された。中身は、腕時計。星野監督からのプレゼントだった。「77FOR55」と、星野監督と西田の背番号が刻印されている。10日のロッテ戦で放ったプロ1号のお祝いに、同監督が特別にオーダーしたものだった。「今日、届いたんです。大事にします」。孝行息子は、うれしそうに言った。【金子航】