<DeNA7-4広島>◇28日◇横浜

 キューバの至宝が試合を決めた。DeNAユリエスキ・グリエル内野手(30)が5回に3号ソロを放った。来日以降、スライダーへの対応に悩み続けていたが、その球種をバックスクリーンに運んだ。まだ慣れていない日本野球だが、対応力の高さを見せつけた。この日に1軍復帰した4番筒香も9号ソロで続き、2者連続アーチ。最下位からの巻き返しへ向け、打線の軸が整ってきた。

 すがすがしい表情でダイヤモンドを回った。5回。先頭打者のグリエルは低めを意識し、4回バットを振ってから打席に入った。その初球。「直球を待っていた」と体は突っ込みながらも、最大限に引きつけた。広島小野の128キロのスライダーをフルスイング。詰まりながらも、規格外の打球をバックスクリーンに突き刺した。「思っていた球とは違ったけど、自分のスイングができた。ホームランになり気分は最高です」。悩んでいただけに、安堵(あんど)の表情を見せた。

 日本野球に、また少しなじんだ。来日から約1カ月がたつ。それでも「まだ日本に慣れていない」と悩む。生活リズムはもちろんだが、一番は日本とキューバの野球の違いだ。「日本の投手は考えながら投げている。頭が良い投球をしてくる。向こうはポテンシャルでやっている」。特に“スライダー”に衝撃を受けた。キューバでは大きな変化球と直球が主流。スライダーを投げる投手もいるが、日本のような手元で鋭く曲がることは少ない。

 そのスライダーの対応に苦しんだ。27日の広島前田からスライダーにタイミングが合わず3打数無安打2三振。これまでの2本の本塁打は直球とカーブを打った。

 巨人セペダに相談もした。「配球が違う。低めへの変化球にどう対応するかが大切」とアドバイスをもらった。ここ数日、試合前の打撃練習では打撃投手に「遅い球を投げてくれ」とお願いし、ボールを引きつける練習をした。その積み重ねが、この日の本塁打となった。

 この一打が試合を決定づけた。中畑監督は「さすがだね。配球にも慣れれば打席でもっと余裕がでる」と話した。グリエルは「初めての投手ばかりで難しいけど、2回目は慣れると思う」とたくましかった。グリエルにとって、日本野球になじむ1本となった。【細江純平】