<日本ハム2-3楽天>◇29日◇札幌ドーム

 強い気持ちでバットを振った。楽天銀次内野手(26)が3安打2打点の活躍で、日本ハム戦の勝利に貢献した。3回の先制打に続き、2-2の9回2死一、三塁では、決勝の左中間二塁打を放った。腰痛で一時離脱した悔しさを、グラウンドで取り返した。チームは交流戦明け最初のカードで勝ち越し、再び西武と並ぶ5位タイに浮上した。

 銀次は腹をくくった。2-2の9回2死一、三塁。日本ハム増井に対し、「変化球が来たらしょうがない。直球1本で。投手も苦しいんだから」と割り切った。カウント2-1からの4球目。その直球が来た。外角高め151キロを上からたたいた。左中間へライナーで運ぶ、らしい当たりで勝ち越しだ。二塁に達すると、自軍ベンチに向かって腕を突き出し喜んだ。

 後輩の気迫に応えた。先発は勝ち頭の則本。戦う前から「今日はノリが投げる。自分が打って1点取ったら勝てる」と信じていた。その通り、3回2死一、二塁で浦野から中前打を放ち先制の1点を贈った。同点に追いつかれたが、8回2死で、則本が大谷に鬼気迫る投球を見せた。最速153キロを投げ込み、最後は148キロで空振り三振。力強く右拳を握る姿に、銀次は「あの三振で、ベンチも『よし!』という感じになった」とパワーをもらった。直後の9回。2死から岡島、藤田とつなぎ、巡ってきたチャンスだった。「必死につないでくれた」と、バットで応えた。

 腰痛から復帰後6試合目で最初の適時打を打った。腰を痛め、5月末に出場選手登録を抹消された。「早く野球がやりたかった」。はやる気持ちを抑えきれず、抹消後すぐに2軍練習場でバットを握った。「焦るな!」。大久保2軍監督らにストップをかけられたほど。1軍戦は毎日テレビで見た。「チャンスになったら、打ちたいなと思ってましたね。メンタル的にはきつかった」。自分が打席に立つ姿を想像し、懸命にリハビリを乗り越えた。

 3番に銀次が戻り、5番には新加入のラッツがいる。主軸が固まった。銀次が戻ってからは、4勝2敗と勝ち越している。立役者の銀次は「これから、どんどん、どんどん、強い気持ちで戦っていきます」と言った。全員の思いだ。【古川真弥】