<広島4-3巨人>◇2日◇マツダスタジアム

 九里の意地がG倒を演出した。広島のドラフト2位九里亜蓮投手(22)が、王者巨人を相手に粘り抜いた。6月12日西武戦以来の1軍登板で白星は逃したが、先発6回を4安打2失点。チームの勝利を導く好投を見せた。チームは小窪の決勝犠飛で粘り勝ち。5年連続負け越している巨人に今季は6勝5敗と現時点で勝ち越した。

 待望のプロ3勝目に匹敵するほどの九里の力投だった。6回で降板後もベンチ最前列で声をからし、救援陣を、味方野手を応援。自身の投球には「状態はよくなかった。しっかり修正しないといけません。スライダーが悪かったし」と反省の言葉を並べた。ただ巨人相手の粘勝に導いたのは、まぎれもなく九里の投球だった。

 1番天谷の先頭打者弾で先制点をもらうと、4回2死二、三塁では7番セペダと対決し、フルカウントからチェンジアップで空振り三振に仕留めた。1点リードの6回は2四球と暴投で2死二、三塁とされ、6番長野に逆転の左中間二塁打を許した。それでも6回4安打2失点は及第点の内容、結果だった。

 4月19日DeNA戦で2勝目を挙げて以来、勝ち星から遠ざかった。6月22日、出場選手登録を抹消された。「2軍に落ちて悔しかった。もっと力をつけなければと思いました」。6月25日のウエスタン・リーグ中日戦で7回1安打無失点と好投し、意地と成長の跡を見せた。再び1軍の先発チャンスが巡ってきた。

 抹消期間中、夜のロングランニングやウエートトレーニングで下半身強化に力を入れた。低めに球を集められる体への改良が目的だった。この日の対戦相手、巨人は4月26日に6回7失点とさんざんに打ち込まれた相手。その打線を2点に抑えたが「1-2で負けていたかもしれない。リードを保って(救援陣に)渡さなければいけませんでした」と最後まで九里は自分に厳しかった。その気持ちも成長の証しだ。