<広島3-4阪神>◇25日◇マツダスタジアム

 巧打者の真骨頂だった。タイトゲームにケリをつけたのは阪神今成亮太捕手(26)だった。7回に追いつき、8回も1死一、二塁の好機をつくる。セットアッパー中田との対戦だ。カウント2-1からの4球目を見逃さなかった。外角高めのチェンジアップを捉えると、左翼線にポトリと落とした。劣勢をはね返し、勝ち越し点を奪った。

 今成

 とりあえず何とかかえしたいという気持ちで打席に入りました。甘い球を積極的にいこうと。切れたと思った。入ってくれて良かった。打てなくても、そのなかで納得のいくスイングはできていました。

 好調なチームとは裏腹に自身は7月に入り、調子を落としていた。月間打率は2割5分に満たない。それでも、打撃練習で状態をチェック。昨季、9打数5安打で打率5割5分6厘を誇った前田との好相性を買われてスタメン出場し、2回には四球も選んだ。そして肝心な土壇場で快打だ。

 柔らかいバットコントロールはチーム屈指の技だ。左方向への安打が目立つが今成にはポリシーがある。ともすれば流し打ちに映る打撃スタイルだが、球団OBに指摘されても胸を張って言う。「流し打ちをしているつもりはありません。きっちり呼び込んで、引っ張っています」。ミートポイントを誤ることはない。体も不用意に前へ突っ込まない。洗練された打撃動作が、勝負どころで光った。

 シーズン54安打はすでにキャリアハイだ。それでも「1日1日、必死にやっていきたい」と貪欲だ。【酒井俊作】