<楽天5-1ソフトバンク>◇7月31日◇コボスタ宮城

 縁起の良い緑が快進撃ののろしとなる!

 楽天が夏季限定「TOHOKU

 GREEN」ユニホームを着用し、連敗を3で止めた。藤田一也内野手(32)はプロ10年目で通算10号を放つなど2安打2打点。後半戦に入り成績が下降していたが、貴重な1発でチームに勢いをつけた。昨年は“緑ユニ”を着て7連勝の口火を切るなど、初優勝への階段を駆け上がった。最下位からの巻き返しへ、緑とともに熱い8月が来る。

 誰よりも、打った本人が驚いていた。「入ると思わず全力で走っていたのですが、自分のパワーにびっくりしました」。お立ち台から緑色に染まったスタンドを眺め、うれしそうに“節目”の1発を振り返った。10年目で通算10号、今季100本目の安打だった。

 打った瞬間、スタンドインを確信する当たりだった。3点リードの2回1死二塁、フルカウントからの9球目。ソフトバンク東浜の内角真ん中142キロの直球をすくい上げた。打球はきれいな放物線を描き、右翼フェンスを軽々と越えた。

 試合前は不振に悩んでいた。「最近打てない。4月に手を痛めた頃に本塁打が出たんで、また痛めようかな」と冗談めかした。前半戦を2割9分1厘で終えたが、後半戦は29打数7安打と下降線だ。原因は疲労もある。初めてオールスターに選ばれたが、前半戦最後の9連戦後に大阪と東京を往復する移動が重なり疲れはピーク。「体がバキバキ」とこぼすこともあった。

 その苦悩を緑が救った。昨季、緑ユニを着た試合は10勝6敗1分けと勝率が良かった。藤田は、私生活でも夏は緑色のTシャツを着ることも多い。大好きな色に身を包むことで「良い結果が出れば」と祈っていた。神頼みだけではない。ここ数試合、平石打撃コーチとフォーム修正を行った。無駄な力が入り、上体が突っ込む。バットが最短距離で出ず、ヘッドが返ってしまい、凡打が増えた。そこで、体の使い方を小さくする意識に変えた。コンパクトに体に巻き付くような鋭い一振りが、本塁打を生んだ。

 チームの連敗が止まり「このユニホームの初戦を取れたのは大きい」と昨年のような快進撃を力強く誓った。5位とのゲーム差は2・5。星野監督には「10年目で10号?

 俺の方が打っとるわ!」とハッパをかけられた。指揮官の通算は15本。緑色のユニホームをきっかけに、早々に超えられるかも?

 さあ、反撃の8月が始まる。【島根純】