<巨人5-1阪神>◇13日◇東京ドーム

 あぁ、主砲の沈黙とともに虎が奪首に失敗だ。宿敵巨人との真夏の決戦第2ラウンド。勝てば今季初の単独首位だったが、4番マウロ・ゴメス内野手(29)が2試合連続の3三振などさっぱり。首位浮上チャンスを逃したのもガックリだが、G戦大好き、東京ドーム大好きの大砲に元気がないのが何よりの気がかり。ゴメスよ、息を吹き返してくれ!

 虎党がじらされる。阪神が、開幕3連戦をのぞけば4度目だった奪首チャンスも逃した。クーラー抜群の敵地で、猛虎打線は涼んでひと休み。最大7ゲーム差を縮めて、勝てば今季初の首位だったのに…だ。片手は届いているようにも見えた巨人の背中が、なかなかつかめないでいる。

 和田監督

 ちょっと止まらなくなってきてるかな。振り続けたら、ずっとボール球を投げられるしね。我慢して、ストライクゾーンに引き戻さないと。

 指揮官が顔をしかめたのは、主砲の状態だった。6回、鳥谷が右翼線への適時二塁打で反撃ののろしを上げた。点差は3。2死二塁で4番ゴメスだった。小山攻略機に頼みの助っ人は空を切る。カウント1-2から内角低めのフォークに、バットが止まらなかった。最終回も左腕山口の低め変化球にクルリと回り、最後の打者になってしまった。

 ゴメス

 何とかしようと思って力が入りすぎた。振ってはいけないボールを、振ってしまった。

 心配だ。この3連戦前は、東京ドームで打率4割9厘と好相性だった。それが2試合連続の3三振。10日広島戦から来日初の3試合連続無安打で、つながり自慢の攻撃陣でブレーキ役になっている。さらに、巨人とは月末にも3連戦が待つ。相手の「対策」にはまっていては、優勝を占う戦いへ不安を残す。練習からアドバイスする指揮官も、危険な兆候を察知した。

 和田監督

 下半身の疲れも出て、気持ちの焦りもあるんだろうけど…。今はちょっと両方かな。下半身がしっかりしないことには、バットも止まらなくなる。我慢しないことには。

 7回無死一塁では、福留の一塁線への強烈なゴロを横っ跳びの阿部に併殺にされた。一方で2回は梅野の失策で失点。空中戦だけでなく地上戦も完敗な「首位獲り」の戦いだった。巨人戦3カード連続の勝ち越しがかかる3戦目。勝てば「0・5」、負ければ「2・5」となる分水嶺(れい)を藤浪に託す。和田監督は「初戦を取ってるからね。何とか明日」。楽しみは先なのか、はたまた勝負弱いのか。ペナントの道は険しくて、おもしろい。【近間康隆】

 ▼勝てば首位の可能性があった4試合でのゴメスの打撃成績は16打数2安打、打率・125。三振は8個で三振率は5割。本塁打は1本だが、0-6とリードを許した9回のもの。走者を得点圏に置いた場面は4度で、内野ゴロ3、三振1。