<中日7-2阪神>◇6日◇ナゴヤドーム

 しょーかい、また阪神藤浪晋太郎投手(20)は勝てなかったかい。1回に先頭四球から先制点を献上。5戦連続の初回失点からスタートし、同点となった直後の6回にもあっさり点を失った。「いきなり失点病」を克服しないと、チームにも自身にも波は来ない。勝負どころで4連敗、8勝8敗の貯金消滅。誰か藤浪に名医を紹介してくれ!

 ベースカバーに入った本塁後方で、藤浪がグラブで左足をたたいた。同点に追いついてもらった直後の6回。また、勝ち越された。1死から平田に右前打を浴び、続く森野に初球をとらえられた。打球は右中間を割り、一塁走者が一気に生還。大事なイニングで痛すぎる失点だった。結局この回で降板し6回6安打3失点だった。

 「同点に追いついてもらった直後だっただけに、悔やまれます。しっかり腕を振って投げたボールを踏み込まれて打たれました」

 試合はつくるものの、勝利につながらない。もどかしい今季を象徴するような展開だった。1回に悪癖が出た。先頭大島に四球を与え、2死二塁から平田に中前適時打を浴びた。これで5試合連続の初回失点。その5試合すべてで先頭打者の出塁を許していた。修正に取り組んだが、解消できなかった。

 「ちょっとバランスが合わなかった。先頭の四球がよくなかった」

 前回登板から中8日。普段行わない階段上りや、内野ノックからのスローイングなどを取り入れた。4日前と2日前に2度のブルペン入り。腕の振り方、臀部(でんぶ)の筋肉の刺激と、多方面から投球を再考していた。痛い敗戦にも「ボール自体はそんなに悪くないと思う。要所での制球、球種、配球を工夫していきたい」と懸命に前を向く。

 プロ7試合目の登板となったナゴヤドームでも初黒星。「特に投げやすい球場」と自他共に認める好相性だったが、結果はともなわず。自己ワーストの4連敗で8敗目を喫した。

 8月8日の8勝目から白星は遠く、貯金もなくなった。高卒2年目にして求められるものが大きすぎるのも事実ではある。だがV争いも崖っぷち。今こそ「勝てる投手」の底力が試される。【池本泰尚】