<阪神5-0広島>◇14日◇甲子園

 もう開き直るしかない!

 広島は阪神メッセンジャーを打ち崩せず、4安打完封負けを食らった。先発九里亜蓮投手(23)は6回3安打無失点と好投したが、前日13日に今季最多17点を奪った打線が沈黙した。今日15日からは本拠地マツダスタジアムに戻り、5ゲーム差で追う首位巨人との3連戦。初戦先発にエース前田健太投手(26)を立て、必勝を期す。

 もちろん、笑顔はなかった。九里は複雑な感情を胸の内に閉じ込め、バスまでの道のりを急いだ。6回3安打1四球で無失点と好投しながら完封負け。「相手がメッセンジャーだったので、先に点を取られないようにと思って投げていました」。冷静な語り口に、チームを勝利に導けなかった悔しさがにじみ出ていた。

 満を持して1軍再昇格後、初先発となった前回7日DeNA戦は2回2/3を3安打3四死球1失点で降板。「前回は高めに浮いてしまった。それだけはしないようにと考えていました」。大胆かつ丁寧な投球が光った。最速147キロを記録した直球で内角を突き、フォークやチェンジアップ、カーブといった多彩な変化球を低めに集めた。

 ピンチは1回1死二塁、4回1死二塁の2回ぐらい。4月19日DeNA戦以来の白星は手にできなかったが、先発ローテ生き残りを猛アピールした。野村監督は「九里は今年一番良かったんじゃないかな」と絶賛した後、「九里が頑張ってくれたし、どんな形でも勝って(広島に)帰りたかったけど、結果は負けた。切り替えて頑張ります」と視線を上げた。

 前日13日に今季最多17点をあげた打線は、まさかの4安打完封負け。1回1死一、二塁、3回2死一、二塁、6回1死一、三塁の好機を生かせなかった。チャンスで2度凡退した5番松山を3回裏からベンチに下げる荒療治を敢行。0-0の7回1死で好投九里に代打キラを送るも、得点には結びつかなかった。

 今日15日からは広島に戻り、5ゲーム差で追う首位巨人との3連戦を迎える。逆転Vに望みをつなぐためには、3連勝が必要となる。初戦に先発する前田は「上を見て戦えるのは幸せなこと。直接対決に勝てばゲーム差を縮められる。大事な3連戦。チームとして勝っていきたい」と気合十分だ。目標はあくまで23年ぶりのV奪回。カープの底力が試される。【佐井陽介】