<楽天3-2日本ハム>◇20日◇コボスタ宮城

 日本ハムの2年ぶりのパ・リーグ制覇の夢が完全についえた。楽天戦で先制し一時は逆転されたが、2-2の同点で迎えた9回。1死一、三塁からセットアッパーのクロッタがサヨナラ打を浴びた。痛恨の連敗。残り12試合全勝でも、首位ソフトバンクには及ばず2位以下が確定した。進出の可能性が高いクライマックスシリーズ(CS)での下克上に目標を切り替え、仕切り直す節目になった。

 怒り、憤った。栗山英樹監督(53)が、猛然と突進した。9回1死一、三塁。楽天島内の打球は高くバウンドし、一塁・中田の頭上を越えていった。全員がファウルと確信したが、判定はフェア。サヨナラ負け。楽天ナイン、客席のファンが狂喜乱舞する中で、グラウンドへと身を投げ出した。標的は飯塚一塁塁審。抗議し“誤審”と訴えた。「判定はしょうがない。ただオレにはそう(ファウルと)見えた」。覆らないと分かっていても全力で抵抗し、闘った。

 無情のゲームセット。2年ぶりペナント奪還という、今季の大目標の可能性が消滅した。一塁側ベンチ裏の監督室に試合後、こもった。幕切れのシーンまでハイライト映像を確認し、荒ぶった気持ちの整理をつけた。2位以下となることが決まった。1つの節目と向き合った。「本当に悔しいよね。それに関しては本当に申し訳ないしかない」。本音を漏らし、期待したファン、周囲らへの謝罪に終始した。

 大失速さえなければ、進出の可能性が高いCSへ。方向転換をし、向かっていくことになる。この日は不振の吉川が6回無失点と復調気配を見せた。4年目の谷口が1点を追う8回の同点ソロに、先制打の全2打点と台頭の兆しを見せた。栗山監督は「まだ違うところ(CS)へいかないといけない」と必死に切り替えた。後味悪い1敗に中に、収穫もあった。主将の大引は「CS進出をがっちり固める」と引きずらず、視点を変えた。有終の1年にするために、残されたチャンスの短期決戦。大どんでん返しを狙って今日から再スタートする。【高山通史】