<DeNA5-4阪神>◇25日◇横浜

 納得のいく打席だった。DeNA筒香嘉智内野手(22)が同点の8回に右中間上段に決勝ソロを放った。阪神福原の真ん中内寄りの直球を豪快に振り上げ、ゆったりとした足取りでダイヤモンドを1周した。20号の大台にも「シーズン前に最低でも20本は打ちたいと思っていたので」といつも通り冷静だった。

 自己満足の本塁打ではない。勝つためのアーチだ。筒香が本塁打を放った試合は14勝5敗1分け。この男が打てば自然と勝利につながる。その分、主砲にかかる期待は大きい。「たまたまです。全力でやった結果です」と言うが、得点圏打率はリーグトップの4割1分3厘と驚異的な数字を残している。

 下半身に体重が乗り、こまのように鋭く回転して打てた。今季421打席の中で最も理想とするフォームで打てた。8月13日に後頭部を強打し、約3週間2軍で調整し、9月6日に1軍に合流。その後も納得のいくフォームで打てなかった。「下半身が弱ってて、頭が突っ込んでた」。23日の試合後、今季初めて居残り練習をした。小池打撃コーチから上半身のゆとりを持つように指導された。「なにかをつかんだ。今までで一番良い形で打てた」。練習の成果が、ここ一番で出た。

 チームが阪神3連戦で勝ち越したのは今季初。ブランコが右太ももを肉離れし、今季絶望。中畑監督は「残りの試合は(筒香が)4番だと思う」と期待した。筒香は主砲の宿命をしっかりと自覚し、4番に座る。【細江純平】