クライマックス・シリーズ(CS)本拠地開催へ、ジョーカーは藤浪だ!

 阪神藤浪晋太郎投手(20)が今季最終戦となる10月1日広島戦(マツダスタジアム)で、中継ぎ待機することが濃厚となった。この日、広島が敗れて虎の自力2位の可能性が復活し、ゲーム差なしまで肉薄。コイとの最終決戦の先発は能見が予定されているが、11勝の藤浪もブルペンでスタンバイする総力戦だ。

 泣いても笑っても、阪神に残されたのは、あと3試合。今日29日からの3連戦で運命が決まる。もちろん、逆転2位へは今日からの本拠地DeNA2連戦で勝つことが大前提。だが、追い風が吹き始めている。この日、2位広島がヤクルトに負けた。ゲーム差なしまで肉薄しただけでなく、虎に自力2位の可能性が復活したのだ。DeNA戦連勝を飾れば、広島が連勝したとしても、10月1日の直接対決で勝利すれば2位が確定する状況に変わった。コイとの最終決戦へ。甲子園での投手練習を見守った山口投手コーチは、その切り札を明言した。

 山口投手コーチ

 最終戦は(ブルペンに)入れなあかんわな。ジョーカーや。

 ジョーカーとは…。26日広島戦(甲子園)で11勝目をマークした藤浪だ。今季最後の先発を終えたが、日程の順延などをにらんで出場選手登録は抹消されていない。今季は最終戦終了後、CSファーストステージ開幕(10月11日)まで中9日の調整期間がある。満を持して藤浪が中継ぎ待機できるというわけだ。

 藤浪本人も「実戦感覚をつけられるほうがいいです」と話すなど、CSまでに実戦感覚を維持させたい意向があるだけに、総動員態勢は願ってもないところだろう。前回広島戦では勝利こそ挙げたものの「内容は良くなかった」と6回6安打3失点の結果に不満を漏らした。中西投手コーチから試合中のベンチで「そんなんじゃCS投げさせられへんぞ」と叱咤(しった)された。シーズンを通してみると、広島相手に防御率こそ3・49ながら、6勝1敗と貯金を稼いだ。「フォームをしっかり安定して投げられるようにしたい」。前回の修正に励み、敵地で自信を深めて終わるのも悪くない。

 最終戦の先発は能見の予定。あくまでも藤浪は緊急事態のジョーカーだが、総力戦に向けて役者がそろう。和田監督の続投は、2位が1つの目安ともされる。CS本拠地開催へ、後は全員で目の前の敵を倒すのみだ。10月1日を最後に、広島には戻らない決意で虎がラスト決戦に挑む。【松本航】

 ▼広島が敗れたため、阪神の自力2位の可能性が復活した。現在2位の広島が阪神との残り1試合に敗れ、他の3試合に全勝した場合、最終成績は75勝67敗2分けで勝率5割2分8厘。阪神が残り3戦に全勝すれば76勝67敗1分けで5割3分1厘となり、広島を上回る。