阪神は、不動の遊撃手で海外FA宣言した鳥谷敬内野手(33)がメジャー移籍した場合に備え、西岡剛内野手(30)の遊撃プランを温めていることが26日、分かった。前日25日に鳥谷が球団側に連絡を入れ、最終回答の越年を申し入れていたことが判明。球団側が設定した期限は来年1月中旬。流出した場合は、直後に和田豊監督(52)が遊撃守備に関して西岡と面談する計画だ。2月のキャンプインまで抜かりなく非常事態に備える。

 鳥谷流出のショックを和らげる「ウルトラC」は遊撃西岡プランだ。阪神は前日25日に球団事務所で編成会議を実施。席上で編成方針を話し合った模様で、もっとも大きなテーマが鳥谷の案件だった。危機管理に抜かりはない。流出した場合の備えとして、来年1月中旬以降に和田監督が西岡と「ショート面談」を行う計画があるという。

 これまでメジャー移籍を目指す鳥谷と粘り強く複数回の交渉を行い、年の瀬になってゴールラインが見えてきた。25日に鳥谷が高野球団本部長に電話で連絡。米大リーグのFA市場がクリスマス休暇で凍結していることもあり、回答の越年を申し入れて、受け入れられた。高野本部長は「(返事が)2月というわけにいかない。1月の終わりというわけにもいかない。早い方がいい。1月中旬くらいです」と説明した。鳥谷本人に、最終回答のデッドラインを1月中旬と伝えた。

 2月のキャンプインまで待てないのは理由がある。来季の布陣を編成する上で鳥谷が退団した場合の時間的な猶予が必要だからだ。当初は中堅大和の遊撃コンバート案が出て、秋季キャンプでも守備練習を実施。だが、右翼の福留が「外野手として大和は(中堅に)置いておいてほしい」と異論を唱えるなど、外野の守備力が失われるデメリットもはらむ。そこで浮上したのが西岡の遊撃案なのだ。

 和田監督自ら、キャンプインまでに西岡の考えを確かめる「面談」を行う意向だ。11月に手術した右肘の回復度を把握する狙いもある。西岡も5日の契約更改時に「二遊間にこだわっていきたい」と話しており、希望に添うものだろう。ロッテ時代はおもに遊撃手でプレー。07、10年の2度、ゴールデングラブ賞に輝いた実績もある。あくまで鳥谷の残留が本望だが最悪の場合もきっちり想定する。<大和、西岡のポジションをめぐる動き>

 ◆11月4日

 和田監督が大和の遊撃起用の可能性を示唆。鳥谷流出の事態を見据え「そうなったときのことも考えていかないと」。

 ◆同13日

 大和が安芸秋季キャンプ初日にショートを守った。シートノックをこなし、ブランクを感じさせない動き。

 ◆同28日

 高代コーチが、大和の来季開幕までの遊撃転向案に関し「オレはできると思うよ。(能力は)特級品」と太鼓判。

 ◆同29日

 和田監督が西岡の外野案を明かした。「考えられる配置だとは思う」。鳥谷が流出し大和が遊撃となった場合の非常用プランだと強調。

 ◆12月5日

 西岡が契約更改後に「内野に、二遊間にこだわる」と明言。

 ◆同12日

 和田監督がコンバート構想のある西岡、大和について個別面談する考えがあると明かした。