あの大谷より速い!?

 今年8月に50歳になる中日山本昌投手が8日、鳥取のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で自主トレを公開した。プロ32年目のテーマは直球の質を高めること。20年近く師事する同施設の小山裕史代表(58)は一般的に回転数が多いと言われる昌ストレートの秘密を明かし、162キロ右腕より打ちづらいと解説した。

 球界最年長が“日本最速”のストレートを磨く。今年初めて鳥取を訪れた山本昌は直球への強いこだわりを口にした。「とにかく真っすぐの質を良くしたい。真っすぐが良くなればおのずと(代名詞の)スクリューも効いてくるはず」。毎年のように新球を発表する場だった1月の自主トレだが、今年は違った。

 すでに動き始めた。昨年のシーズン終了後からはフォーム改造にも着手している。「あまり言いたくないけど、明確にこうしたいというのはある」。珍しく言葉を濁したが、この日も入念なキャッチボールでフォームをチェックした。

 昨季の最速は135キロだが、球速だけでは計れないのが昌ストレートだ。打席に立ったバッターがよく球速よりも速く感じると表現する。その秘密を同施設の小山代表は「肘が上がってからリリースまでが(他の選手に比べて)圧倒的に速い」と説明した。それは日本人最速の162キロをマークした日本ハム大谷より速いという。独特の投法が回転数を生み“速く感じる”直球を作り出す。

 来季はジェイミー・モイヤー(元マリナーズ)が持つ49歳5カ月のメジャー最年長勝利の塗り替えが期待される。最近は「レジェンド」というフレーズが代名詞でつくが「レジェンドは僕のことじゃない。現役だからレジェンドなんていいですよ」と第一線としてのプライドをのぞかせた。マウンドに立つ限りは探求を止めない。50歳シーズンもその姿は不変だ。【桝井聡】