広島ドラフト1位の野間峻祥外野手(21=中部学院大)が11日、入寮後初めての打撃練習を行った。新人合同自主トレのメニュー終了後、約150球のティー打撃に取り組んだ。野間が大事にする練習法。2月1日から始まる春季キャンプに向け、即戦力ルーキーの動きが本格化してきた。

 うずうずしていた思いをバットに乗せた。全体練習終了後、野間は真っ黄色の重さ1キロのマスコットバットを握り、ティー打撃に向かった。1球1球確かめるようにスイング。試運転程度の初打ち。だが、期待の韋駄天(いだてん)にとっては、最も大事にする練習メニューだ。

 慌ただしい日々が続いていた。9日に入寮。新人合同自主トレ初日の10日夜には神戸市で激励会があった。全体練習に打撃練習が組み込まれておらず、母校で自主トレをした7日以来、打撃練習ができていなかった。「納得いくまで打ちたい」野間はたまらず、入寮日の夜に寮の部屋でバットを振っていたほど。入寮から3日目。ようやく思い切りバットを振った。「今日は打とうと決めていた。振っていた方が落ち着く」。普通に打つだけでなく、逆手、右手と左手を離したスイングなど、大学からのルーティンで振り込んだ。約150球。集中力が途切れることなどなかった。

 毎年1月はティー打撃を練習の中心に据えてきた。「バランスと足の運び。とりあえずしっかりした形で振れるようにしたい」。スイングスピードを上げ、土台となる下半身を強化する基盤作り。さらに右肩の開きを抑える意識付けにティー打撃が最適と考える。大学時代には1日2000球、10日で2万球のティー打撃をこなしてきた。

 遅くても、新人以外のチームメートが参加する15日の合同自主トレからフリー打撃のメニューが入ってくる。「柔軟に変えていかないといけないこともあるだろうけど、本当の勝負はキャンプからだと思うのでマイペースにやっていきたい」。プロのやり方に慣れていきながらも、自身が確立したスタイルを崩すつもりはない。野間が、プロでもこだわりティー打撃から動き始めた。【前原淳】