対策を上回ってG倒だ!

 阪神の守護神呉昇桓投手(32)が29日、キャンプ地沖縄に入った。グアム自主トレも順調で、キャンプにスタンバイOK。ライバル巨人が昨秋から取り入れる推定160キロの超高速打撃マシンを使った対策も「石直球」で打ち砕くと頼もしい。

 呉昇桓が汗ばむ陽気の沖縄に降り立った。前日までの雨空がうそのように晴れ渡った。澄み切った青空のように守護神の視界は良好。その目は「仮想呉昇桓」を射抜いた。ライバル巨人は村田コーチの発案で昨秋、推定160キロの超高速マシンを導入。春季キャンプで増台して継続し、18・44メートルの距離も詰めるプランもある。その攻略対象には、CSファイナルステージでG打線の前に立ちはだかった呉昇桓も入っていた。

 「僕は160キロでないので。上回るというか、人とマシンは違う。他のチームもたくさん対策をしてくると思うけど、自分もたくさん対策をしていく」

 セ・リーグ王者の作戦もまた一段上回れればいい。武器は最速157キロ直球だけではない。呉昇桓も打者の特徴を徹底的に分析し攻略の糸口を探っていく。個人トレーナーのグォン・ボソンさん(31)は「持っているものはすばらしい。トレーニングが必ず160キロにつながるとは断言できないが、それだけの体はある」と証言していた。160キロ超えの可能性は秘めている。力を込めた「石直球」はマシンを打っただけで攻略できるものではない。巨人の策をバッサリ斬った呉昇桓は、開幕直後のフル回転も思い描いた。昨季はシーズン終盤には連投や複数回に投げるイニングまたぎも苦にせず、数々の修羅場を乗り越えてきた。

 「シーズンに入って状況によってやっていく。序盤からはさすがに(連投、イニングまたぎは)ないとは思うけど。うちにはいい中継ぎ陣もいるし。でも準備を整えることは可能だ」

 力強く言い切り、さらに続けた。「そのためにキャンプに来て、キャンプの前の自主トレでも体を作ってきた」。昨年の開幕直後はガス欠を自覚し、スタートダッシュはできず。日本2年目、強くなった守護神が勝利へ導く。どんな対策も関係ない。巨人を倒すだけだ。【宮崎えり子】

 ◆巨人の160キロマシン

 メッセンジャー、呉昇桓ら剛球派投手に苦戦した巨人が、昨年秋季キャンプで導入。村田総合コーチの発案で、体感速度は推定約160キロ。昨秋の日米野球前に阿部が「メジャー投手の球が遅いと感じるかもしれない」と効果を口にした。今春キャンプでも継続使用。若手に金属バットで挑ませる計画もある。