球界を代表する投手となるために、聞いて、聞いて、聞きまくる。楽天のドラフト1位安楽智大投手(18=済美)が4日、沖縄・久米島キャンプで2度目のブルペン入り。前回2日の初ブルペンに比べ、明らかに力みが消えていた。ゆったりとテークバックし、ムチのようにビュンと腕をしならせた。立ち投げで61球。「力を抜いてもボールが行く感覚があった。後ろは軽く、前だけ強くという意識で投げました」と話した。

 つかんだ手応えを確認したい。真っ先に思い浮かんだのが、視察に訪れた佐々木主浩氏(46=日刊スポーツ評論家)だった。ブルペンで熱視線を送られているのに気付くと、自らアプローチを起こした。日米通算381セーブを挙げた「ハマの大魔神」へ、「どうしてもお話ししてみたい!」と関係者にお願い。急きょ会談の場を作り上げた。

 どうしても聞きたい理由があった。「自分の体に似ている、骨格が似ている選手を参考にしたい」。佐々木氏はまさに理想の存在だった。憧れの人と出会って第一声は「見ていただいて、どうですか?

 僕のボールは」。ズバッと聞いた。「モノが違う」とほめられると、もう止まらなかった。「キャッチボールの仕方は?」「ウエートはやった方がいいですか?」「落ちる球は学んだ方がいいですか?」。5分間、クイックでの投球より早く、聞き続けた。丁寧に助言を受けると「話ができて良かった」と感激した様子だった。

 声出しでは「新人王をとりたい」と初めて新人王の名を口にした。大きく育つために、学べるチャンスも逃さない。【島根純】