2・28に虎ゴジラが1軍デビューへ。阪神横田慎太郎外野手(19)が、2月28日の練習試合オリックス戦(安芸)で1軍デビューする計画が温められていることが4日、分かった。プロ2年目の今季も2軍安芸からキャンプインしたが、この日も打撃は149スイングで21本の柵越え。非凡な長打力を見せつけており、キャンプ中の実戦で結果を残せば、晴れて1軍戦への出場が濃厚。3月のオープン戦同行も現実味を帯びる。

 遠く離れた安芸からの快音は東シナ海を越えて、沖縄にも届いていた。ブルンとバットを振り、豪快アーチを無数にかけるのは2年目のゴジラ横田だ。この日も打撃練習で驚異の打球を飛ばした。ドンドンドーンと3連発。バックスクリーンを越える弾道が2本もあった。締めて149スイングで21本のオーバーフェンス。安芸での猛打は1軍首脳陣も報告を受けていた。

 球団関係者は「高知でやる試合に横田を呼ぶという話だ。2軍の試合で結果を出すことが前提だけどね」と説明する。昨年10月に腰痛を発症させたため、慎重に練習を重ねており、1軍沖縄キャンプに合流させる予定はない。猛打が続いても、あくまで安芸でじっくりと鍛え上げる方針だ。ただ、6試合行われる2軍戦で好結果を残せばキャンプ後の2月28日、オリックス戦で合流の青写真を描く。

 阪神にとって待望久しい大砲候補だ。1月下旬には鳴尾浜自主トレを視察した掛布DCが「横田の調子がいいね。音がいい。2年目の松井以上」と評し、巨人や大リーグで活躍したゴジラ松井秀喜になぞらえていた。昨年から指導する掛布DCは潜在能力を最も間近で見ている。「本当にすごいんだ。予想以上に成長している。1軍に来ても、一番飛ばすんじゃないか。左中間にも大きいのを打てる。(日本ハム)大谷とか(オリックス)糸井のようなイメージだな」と掛け値なしに褒めていた。特筆すべきは逆方向にも放り込める、驚異的なパワーだろう。

 安芸でも太平洋に向かってゴジラは火を噴く。キャンプ4日間で合計663スイングして76発の柵越え。打ち損じが多く、まだ粗削りだが、それを差し引いても魅力的な飛距離がある。古屋2軍監督も「想定外、規格外の本塁打を打つ。球が落ちてこない」と舌を巻く。2・28デビュー後は1軍への挑戦が始まる。球団関係者は「3月もオープン戦に出していくこともあるよ」と言う。輝きがあれば3月のオープン戦も積極的に出番を与えられそうだ。

 球団創設80周年だが、1軍の新戦力が乏しい。それだけに、ゴジラ横田が一躍1軍の舞台に現れれば、チームは一気に活性化する。横田は言う。「今年は体が疲れていても振れている。(場外弾は)練習なのでうれしくないです」。冷静な受け答えも頼もしい。計り知れない実力が、虎に新しいロマンをもたらす。

 ◆横田慎太郎(よこた・しんたろう)1995年(平7)6月9日、東京都生まれ。鹿児島実では通算29本塁打。13年ドラフト2位で阪神へ。昨季ウエスタン・リーグ79試合、6本塁打、23打点、打率2割2分5厘。父真之さんはロッテの元外野手。186センチ、85キロ。左投げ左打ち。<横田昨オフからの成長>

 ◆驚異のボディー

 30歳未満の選手を対象に昨年11月に行われた体力測定のうち、背筋力や垂直跳びなど3項目でトップ。背筋力は1年間で50キロアップし、220キロをたたき出した。

 ◆糸井になれる

 秋季キャンプ中の11月13日、43スイング中すべて中堅方法に4本の柵越え。打球を見た和田監督は「ホームラン打者の軌道だ。ひょっとすると糸井になる可能性がある」とうなった。

 ◆ゴジラ超えだ

 今年1月24日、室内でのマシン打撃を視察した掛布DCが「打球音がいい。2年目の松井(秀喜)以上だよ」と大化けの期待を口にした。

 ◆バックスクリーン越え弾

 安芸キャンプ初日の2月1日、フリー打撃と特打の209スイングで柵越えは若虎最多の25発。しかも4本はバックスクリーン越え140メートルの場外弾。