怪物復活へ大きく歩み出した。ソフトバンク松坂大輔投手(34=メッツ)が5日、独特の調整法で初のブルペン投球を行った。自ら申し出て佐藤投手コーチに背後に立ってもらい、バランスやフォーム修正をしながら59球を投げた。マウンド後方などからの投球も合わせると約100球になる初の公開投球。今後は中1日のペースでブルペン入りし、実戦へと進んでいく。

 多くの視線を浴びながら、復活への1歩をしるした。ブルペンに足を踏み入れた松坂が、注目の高さに驚いた。「丸見えですね。気になりますね」。ブルペン横のスタンドからファン約100人が見守っていた。テレビカメラは12台。途切れなく連射されるカメラのシャッター音。ネット裏からは工藤監督が見ていた。キャンプ初日にブルペンでのボールを使った練習を非公開としてから4日後。ソフトバンク松坂として、初の投球披露だった。

 まずはプレート後方から振りかぶって16球。そしてプレートに足をかけ、捕手を立たせたまま24球。そして、捕手を座らせセットポジションから1球1球フォームを確認しながらのピッチング。その15球目。佐藤投手コーチが松坂の左肩の斜め後ろに立った。体の背後にも移動してもらうなど位置を変えながら、35球のピッチングを終えた。

 松坂

 ブルペンに入って僕の方からお願いしました。立ってもらっただけでいろんな効果がある。長年の悪いクセ。見た目ではほとんど分からない部分だけど、僕の感覚では全く違う。立っていないと無駄な動きがある。

 キャンプインからキャッチボールで腕が横振りになるなど左肩が開くことに頭を悩ませていた。日本仕様にフォームを戻そうと思っても、急には戻らず苦しんでいる過程。独特な調整法は、背後を意識することで開きを抑えることを狙っており、復活プロジェクトのスタートでもあった。ブルペン投球後も捕手を立たせて21球、佐藤コーチと“おさらい”。「しばらくは立ってもらいます」(松坂)。年齢を重ね日本に戻ってきた松坂の輝きを取り戻す挑戦が、いよいよ本格的になってきた。【石橋隆雄】