2種類のナックルで大谷を斬る!

 DeNAのドラフト1位、山崎康晃投手(22=亜大)が今日14日、日本ハムとの練習試合(名護)に先発する。予定は2イニングで、中軸に座る予定の大谷とは1打席の対決が実現する。高速と低速のナックルも使って日本代表を打ち取り、残り2枠の開幕ローテーション入りをアピールする。

 ブルペンで32球を投げ終えたとき、山崎康が声を上げた。「川村さん(投手コーチ)左打席に立ってください」。仮想大谷だ。そして42球目。「速い方のナックル行きます」と、松下ブルペン捕手に声をかけた。球速は128~132キロほど。フォークに近い軌道で落ちた。通常のナックルが100~110キロ程度だから、この球種だけで実に約30キロの緩急差がつく。速い方は人さし指と中指を立て、遅い方は中指と薬指を立てる。握り方も違う。

 初めて受けた松下ブルペン捕手は驚いた。「この2つを同じサインで投げたら危ないです。緩い方は揺れながらどちらに落ちるか分からない普通のナックル。速い方は縦にストンと落ちます」と、武器になることを請け合った。

 対外試合の“開幕投手”に指名された山崎康は、武者震いだ。ことに大谷への意識は強い。「ランナーなしで1対1で勝負したいです。根拠のない自信があります。そこが僕のとりえなんで」と強気の姿勢を見せる。「すべての球を使います。ナックルも。日本を代表する選手にどこまで通じるか。堂々といきたい」と。ただし2種類の使い分けは秘密だ。「自分の中で理想はあります」と言って笑った。サービスはしない。練習試合とはいえ、そこはしたたかに真剣勝負だ。

 ブルペンでは全球種を投じた。川村コーチには右打席にも立ってもらった。カウントを設定して内外角に投げ分けていった。「今日は実戦を想定して投げることもできた。いい準備はできました。競争の中で生きている。負けたくはありません」と、目を光らせた。

 この強気を中畑監督も買っている。「心の強い選手。結果を恐れず向かっていくタイプと思っている。心のパワーを出してくれたらいい。大谷をビシッと抑えたらいいね。でも見出しは大谷かな。小さく、やるね山崎かい」と冗談めかすが、本心は違う。客を呼べる選手を待望している。名前のある選手を倒しインパクトを与えることを願っている。久保、山口、井納、モスコーソの4本柱に次ぐ2枚が競争だ。その中へ、ドラフト1位右腕が先陣を切る。【矢後洋一】<山崎康晃(やまさき・やすあき)アラカルト>

 ◆基本データ

 1992年(平4)10月2日、東京都出身の22歳。177センチ、83キロ。右投げ右打ち。血液型はO。50メートル5秒9、遠投115メートル。家族は母と姉。最速は151キロで、亜大時代は大学日本代表にも選ばれた。

 ◆キャンプに持ってきたもの

 スヌーピーの縫いぐるみ。「母が好きだったので小さい頃から僕も好きでした。部屋の荷物と一緒に置いてあります」。

 ◆アマとプロの違い

 「環境の良さに驚いています。亜大が悪かったということじゃありません。レベルが違う。トレーナーさんが多いし、メニューも充実している。選手中心のプログラムを感じています」。

 ◆リラックス法

 サイクリング。「こちらには自転車を持ってこられないので、代わりにオフの日もランニングをしています。自転車をこぐのと同じ効果があると思います」。