クビ覚悟でやりまっせ!

 阪神の男前こと藤井彰人捕手(35)が西宮市の球団事務所で契約交渉を行い、現状維持の推定4000万円プラス出来高払いで更改した。FA移籍1年目の今季は大ブレークしたが、2年契約の2年目となる来季は「クビもある」と悲壮な覚悟。打倒城島も宣言し、浮かれることなく正真正銘の正妻を目指す。(金額は推定)

 現状維持の推定4000万円で更改した藤井彰から、何とも衝撃的な言葉が飛び出した。FA移籍した昨オフに2年契約を結んでいたため、「男前査定」もなく年俸は据え置き。今季の活躍からして、4000万円はもの足りない感じが否めない。それでも出てきたのはグチではなく、背水の覚悟で来季に臨む意気込みだった。

 藤井彰

 来年野球できないと、36歳になってしまうし、クビもある。自分にプレッシャーをかけていきたいと思ってます。

 今季は城島が離脱した6月初旬から正妻を務め、プロ13年目で3番目に多い99試合に出場した。巧みなリードで虎投を引っ張り、2本のびっくりホームランやお立ち台の爆笑トークでその存在感は際立った。真弓監督も「取っておいて良かった」と話すなど、一躍2011年の虎の顔になった。

 だが、男前は冷静に自分自身を見つめていた。相手も未知な移籍1年目は通用しても、セ・リーグ2年目は同じようにコトが運ぶとは限らない。相手も研究を重ねてくる。一発芸人のようにフェードアウトしてしまうのか、それとも数年先まで安泰の地位を築けるのか。すべては来季にかかっている。甘い世界ではないと、自戒を込めた言葉が「クビ」だった。

 藤井彰

 2月1日から横一線ではないですが、(城島と)勝負して勝てるようにしたい。レギュラーを取れるように頑張ります。

 力強く打倒城島も宣言した。来季は故障明けの本来の正妻が帰ってくる。定位置奪取には、絶対乗り越えなければならない大きな壁だ。そして元気なライバルに勝ってこそ正真正銘の正妻を名乗ることができる。まだ同級生対決の決着はついていない。オフは近鉄時代の同僚オリックス山崎や、楽天時代の同僚らと自主トレを計画。母校近大にも足を運び、攻守でレベルアップをはかる意気込みだ。

 藤井彰

 やっぱり4位が悔しくて責任を感じています。優勝はほとんど味わったことがないので、タイガースで優勝したいです。

 1度きりの優勝となった近鉄時代の01年は、日本シリーズにも出場していたが、扱いは控えの控えだった。今度は正妻として、本当の喜びを分かち合いたい。勝負をかけたシーズン。和田監督を男にし、男前がもっと男前になる。【松井清員】