小久保“監督”が、V3プランを語った。ソフトバンク小久保裕紀内野手(40)が26日、現状維持の3億円で一発サインした。日本一を支えた和田、杉内、ホールトンの退団が決定。川崎もマリナーズ移籍が確実となる中、主将は「いやらしいくらいアピールしろ」と若手に指令した。球団にも投手補強をお願いするなど、監督目線でチーム力向上に尽くす。

 主将だから、あえて言えることがある。現状維持で契約更改した小久保は、嘆くより前を向いた。主力の退団が続出。視点を変えればチームの底上げのチャンスでもある。V3のために、長く強いチームであるために若手の成長は不可欠。自身の経験をもとに、アピールすることの大切さを訴えた。

 「自分も若いころ、当時の王監督にアピールして、たまたまセカンドが空いていたからレギュラーをとれた」

 若手のころ、監督だった王球団会長から自分のフリー打撃に視線が注がれているのを感じると、全打席で本塁打を狙ったという。長打力を認められ、当時超重量打線と言われたダイエーでレギュラーを獲得。不動の地位を築くきっかけとなった。

 「3人(和田、杉内、ホールトン)の穴は大きい。2月のブルペンは活気があふれるくらいではないといけない。若手にはいやらしいくらいアピールしてほしい。大場とこの前、話した時は気合が入っていた」

 投手陣にも自覚を求めた。主力が抜け先発入りに燃える大場翔太投手(26)ら若手を頼もしく思った。そして、野手には統一球で飛距離が出ないことを言い訳にすることを禁じた。

 「落合さん(前中日監督)も言っていたけど、統一球だからというのを言い訳にしてはいけない。(西武)中村もそう。松田も本塁打数が増えている」

 交渉の席では自身のことよりチームのことがほとんど。まるで監督のように補強戦力、3軍の充実などを球団に訴えた。

 「まず(外国人の)投手の補強をお願いしましたよ。まあ秋山監督が言うことやけど。あと3軍も。今年から始まったばかりで人員が足りていないと聞いたから」

 来季はプロ19年目。2000本の金字塔まであと38安打に迫っているが、個人のことより主将としてチームのことを最優先に考えている。【奈島宏樹】