<北東北大学野球:岩手大1-0八戸学院大>◇26日◇第1週第1日◇岩手・花巻球場

 岩手大が開幕戦で昨秋王者の八戸学院大を破った。工学部の「理系エース」佐藤健太郎(4年=大館国際情報)が被安打1と好投。リーグ初完封勝利をおさめた。

 大仕事をやってのけた岩手大・佐藤は仲間にもみくちゃにされ、たたえられた。昨秋王者に許した安打は4回の二塁打1本のみ。変化球を低めに集めた丁寧な投球で19個のフライアウトを積み上げ、10年秋以来7季ぶりとなる“金星”を呼び込んだ。自身初の完封勝利も重なり「うれしいです」と頬を緩めた。

 高校野球の引退後に猛勉強し、国立大の岩手大工学部に現役合格。現在は「超小型歯車の耐摩耗性の向上」という卒業研究に取り組む、野球部では珍しい理系選手。自動車メーカーを中心に就職活動中の身でもある。「勉強以外の時間があるので」と軽い気持ちで野球部に入部し、途中でやめるつもりだったというが「不思議にやってこられた」。そして4年春のマウンドで偉業を達成した。

 高校時は春秋県大会に出場したことのないチームの2番手投手。それが大学で体作りや自己流のフォーム改造に取り組み、最速は125キロから139キロまで上がった。最後の春は「優勝するつもりでやっていきたい」。“リケジョ”ならぬ“リケダン”エースが勝利へフル回転する。【高場泉穂】