<東北地区大学野球選手権:青森大1-0仙台大>◇28日◇準々決勝◇東北福祉大野球場

 青森大(北東北)が仙台6大学王者の仙台大を破り、4強入りを決めた。初回に相手失策で先制した1点を、公式戦初先発の右腕井草明良(2年=立花学園)が守りきった。最速135キロながら変化球をうまく織り交ぜ、6安打完封した。

 公式戦初先発の青森大・井草が大仕事をやってのけた。右腕を大きく振り、舌をペロっと出しながら投げるユニークな投法。「良い高さに直球を投げられた」と、仙台6大学王者を相手に最後まで0行進を続けた。勝利後は「これまで練習試合でも5回しか投げたことがない。完封なんて、うれしいです」と話した。

 立花学園高(神奈川)では2年でエースナンバーをつけ、夏の県大会8強に貢献した。だが3年時は、右腕に死球を受けた影響から投げられない時期があるなど苦しんだ。悔いを残したまま野球をあきらめきれず「大学でも続けたい」と青森大へ進学。「同期に良い投手が多いので自分も勝てる投手になりたい」。再起を胸に黙々と練習を続けてきた。

 そんな右腕を、鳥谷部勉監督(46)は「1年生の時から球は良かった。まじめだし、精神面でもう少し強さが出れば」と期待していたという。そしてこの日、4強入りをかけた試合のマウンドを託した。強打者を相手にしてもひるまず、カーブ、スライダーなど変化球で打たせて取るピッチングに、鳥谷部監督は「一巡を0点で抑えればたいしたものと思っていた。よくやったと思います」と成長を認めた。

 準決勝の相手は、再び仙台6大学の強豪・東北福祉大。井草は「投げる機会があれば、与えられたイニングはしっかりこなしたい」とさらなる活躍を誓った。【成田光季】

 ◆井草明良(いぐさ・あきら)1994年(平6)4月16日、静岡市生まれ。小2から長田南小スポ少でソフトボールを始める。城山中では焼津シニアに所属。立花学園高では1年秋からベンチ入り、2年秋からエース。2年夏、秋に神奈川県大会8強。3年時は背番号「10」で県16強。青森大では1年秋からベンチ入り。175センチ、85キロ。右投げ右打ち。最速は140キロ。家族は父。血液型O。