“平成の名勝負”を再現だ。広島のドラフト1位、明大・野村祐輔投手(22=広陵)が29日、都内のホテルで仮契約を行い、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1500万円で合意した。背番号は「19」に決定。プロで対戦したい打者に「広陵の先輩の阪神金本さんと…、同期ではやっぱり伊藤ですね」と、阪神1位の慶大・伊藤隼太外野手(22=中京大中京)の名を挙げた。

 伊藤は東京6大学リーグでしのぎを削った好敵手。それはちょうど、98年の中日川上憲伸(現ブレーブス)と巨人高橋由伸に重なる。ともに明大出身の好投手と慶大出身の強打者。98年は川上が高橋由を22打数1安打に抑え込み、新人王に輝いた。リーグ戦では、野村と伊藤の通算対戦成績は28打数6安打。「そのおふたりに似てると言われたことはあります。プロでもずっとライバルでありたい」と自分たちの姿を重ねた。

 交渉後、広島苑田スカウト部長は「ローテーションで10勝以上できるんじゃないかと期待してます」と笑った。野村にとって広島は、高校3年間過ごした第2の故郷。「早く貢献して、成長した姿を見せたい」。明治神宮大会を制した勢いそのままに、来年もライバル伊藤を抑え、新人王争いに名乗りを上げる。【鎌田良美】

 ◆川上VS高橋由

 東京6大学時代は両者とも主将で川上(明大)がリーグ通算28勝15敗、高橋由(慶大)は今でもリーグ最多記録に名を残す23本塁打を放った。プロ1年目の98年は川上が14勝6敗、防御率2・57(セ2位)、高橋由は打率3割(セ8位)、19本塁打、75打点。川上が次点の高橋由に46票の大差をつけて新人王に選ばれた。両者の対戦は1年目に22打数1安打と川上が圧倒し、プロ通算(98~08年)では145打数39安打(打率2割6分9厘)、7本塁打。