入団が秒読みとなっているドラフト1位の大物ルーキーに、異例のお願いだ。日本ハムの投手リーダー武田勝投手(34)が、入団前の高校生に、深々と頭を下げた。2日、都内で球団主催イベントに参加し、大谷翔平投手(18)について「温かく迎えるので、一緒にみんなでプレーしたい。逆に、バッティングを教えてもらいたいですね」と話した。

 今日3日に栗山監督、山田ゼネラルマネジャーらが、岩手県内のホテルで再交渉に臨む花巻東・大谷は、投手としても野手としても高評価。入団となれば、球団は“二刀流”で育成する方針で、高校通算56本塁打を誇る打撃の秘訣(ひけつ)を、投手陣全員で吸収しようというわけだ。

 今季、交流戦で投手陣の安打は、多田野の内野安打1本のみ。武田勝自身もプロ7年の通算38打席で1安打。「ゴルフと一緒で当てるだけ。バットを振り切る方法を勉強したいですね」。巨人に敗れた日本シリーズで、その思いはさらに強くなった。

 「今まで投手陣が野手ミーティングに参加することはなかった。でも、いきなり打席に入って沢村(巨人)の150キロを相手にするなんて無理。太刀打ちできない」。パ・リーグ投手にありがちな打撃軽視の姿勢が、日本一を争う大舞台でも影響したと分析している。

 斎藤の入団当初から精神的に支えるなど、スター選手の扱いは手慣れたもの。「佑ちゃんの時と一緒で、やりやすい環境を整えるために、積極的にコミュニケーションを取りたい。ダルビッシュ(レンジャーズ)を良い見本に、日本の野球を経験して段階を踏んでほしいですね」。大谷が入団の暁には、打撃指導と引き換えに、心優しき左腕の全力サポートが待っている。【中島宙恵】