中日吉見一起投手(24)は3日、名古屋市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2600万円アップの3800万円で一発サインした。入団から2年間で1勝止まりだったが、3年目の今季は10勝3敗、防御率3・23と大ブレーク。球団側から、FA宣言した川上憲伸投手(33“後継者候補”に指名され「与えられたところで投げるだけ」と闘志を燃やした。

 3800万円で一発更改した吉見は、球団側から“フライング気味”にハッパをかけられていた。「(投手陣で)抜ける人がいるかもしれない、誰かが一本立ちしないと、TGを倒さないと、そこで投げないと、と言われました」。抜けるかもしれない人とは、FA宣言した川上。去就は未定だが、早くもその後継者候補に指名されてしまった。交渉役の井手編成担当は「それくらい期待しているということ」と説明した。

 中日では阪神戦、巨人戦にあたるローテーションで投げることがエースのあかしで、川上が役割をになってきた。今季は北京五輪出場の影響などで登板は少なかったが、昨季は登板26試合中巨人、阪神戦に7試合ずつ投げた。吉見も「巨人戦は川上さんというイメージがある」と強烈な印象を植え付けられている。

 吉見は今季10勝したが、2強の怖さも味わった。登板35試合中巨人戦は3試合で0勝1敗、防御率13・50。先発した5月10日の東京ドームで4回4失点と打ち込まれ、中継ぎで投げた7月6日のナゴヤドームでも1イニング5失点。立ち直る間もなかった。阪神戦は5試合で防御率2・57だが、こちらも勝ち星を挙げられていない。

 川上の去就にかかわらず後継者への道は厳しいが、伸び盛りの吉見が候補者であるのは間違いない。年俸3倍超で臨む4年目の来季。「川上さんは勝ちが計算できる投手。いつかはああなりたい。ボクは与えられたところで投げるだけ」と力を込めた。【村野

 森】