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　悲願の合格通知が届いた。３月開幕の第２回ワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）日本代表最終メンバーに、阪神岩田稔投手（２５）が選ばれた。同代表の宮崎合宿最終日となった２２日、最終メンバー２８人が発表され、１月に追加招集されていた岩田が、大逆転で代表切符を勝ち取った。魔球ツーシームやスライダーを武器に左の中継ぎとして期待されており、この日の巨人との練習試合でも好投した。ＷＢＣは２５日に参加全１６チームの最終メンバーが正式発表され、３月５日の日本－中国（東京ドーム）で開幕する。

　一時は完全消滅した日本代表の夢がかなった。通算７０勝で同じ左腕の和田を押しのけ、岩田が大逆転で２８人に選ばれた。念願だった日の丸のユニホームに正式に袖を通すことが決まり、「僕はやらんといかんので」と表情を引き締めた。

　大外から一気にまくった大逆転切符だった。昨年１２月発表の１次候補３４人に選ばれず、今年１月に入ってドジャース黒田が辞退。追加招集という形で巡ってきたチャンスだった。この合宿も当落線上にいたが「絶対に代表に入りたい」と強い気持ちを持って、練習に取り組んだ。

　１８日に行われたシート打撃では、打者９人に対して被安打１。首脳陣の評価は日ごとに増した。この日の巨人との練習試合では、２番手で登板。２回２安打１失点（自責０）。失点は味方野手に足を引っ張られたもので、アウトはすべてゴロ。代表左腕としての貫禄（かんろく）を示してみせた。

　「今日は低めを意識して投げた。僕は低めに投げないと打たれるから」。得意のスライダーはもちろん、今オフから本格的に習得に励んだ魔球ツーシームが、代表級に通用することがあらためて分かった。

　今季に向けて年末年始は無休を貫き、１月１日にはすでにブルペン入り。例年より早く進めていた調整が功を奏し、阪神の沖縄・宜野座キャンプでも好不調なく過ごせた。キャンプ中は日本代表のことを念頭に置き「連覇に貢献するために頑張って準備しないと」と自覚は十分だった。

　山田投手コーチは、岩田の評価について「スライダーの曲がりは独特なものがある。実際に間近で見て非常にいい。今だったら先発の次に注ぎ込んでもいい」と信頼も高い。代表では先発からバトンを受け継ぐ“第２先発”のような任務の他、走者を背負った厳しい場面での登板も予想される。ストッパー球児につなぐために終盤に登板機会も訪れるかもしれない。

　この２カ月間で自身の存在価値を高めることに成功した。「とにかくやらんといかん。必死になって頑張ります」。実力と努力と幸運が絡み合い、赤い糸に導かれるかのようにたどり着いた日本代表への道。世界を相手にした新たな挑戦が始まる。【石田泰隆】

　［2009年2月23日10時59分　紙面から］

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岩田稔

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