大谷の穴を絶対に埋めてみせる。小久保裕紀監督(45)率いる侍ジャパンが2日、先発ローテーションの再編に乗り出した。右足首痛で投手としての出場を断念した大谷翔平選手(22)が先発予定だった、初戦となる3月7日キューバ戦に則本昂大投手(26)を投入。8日オーストラリア戦は当初の予定通り菅野智之投手(27)をぶつける。闘争心を前面に、剛球とフォークボールで三振を重ねる則本で開幕戦を奪い、絶対に落とせない2戦目に大黒柱を送り込む。小久保監督が先発の軸として指名した両輪で、WBC1次ラウンドを突破する。

 立ち止まっている時間はなかった。世界一奪還を目指す小久保監督が、大谷の登板回避を受け、ローテ再編の大枠を固めた。初戦のキューバ戦に則本を繰り上げ、第2戦のオーストラリア戦に菅野を配置。第3戦の中国戦以降はメンバー編成によって流動的になるがロッテ石川らが続く。“大谷ショック”から一夜明け、巨人キャンプを視察して菅野の登板に向けた日程を確認。「高橋監督、尾花投手コーチとも話して。(登板日から)逆算をして。しっかり調整してくれると思います」と話した。

 開幕投手に急浮上した則本は、1日のキャンプインと同時にブルペン入り。メジャー仕様のブルペンで座った捕手を相手に56球を投げ込んで感触を確かめた。大谷の登板回避については「ピッチャー陣が彼の分までカバーする、穴を埋める働きが出来たら」と話していた。すり足打法のキューバ選手に対しては縦への変化が効果的で、フォークボールが武器の則本は適任と言える。

 重圧をはねのける力を持つ菅野は、運命を分けかねない第2戦に当てる。万が一、初戦を落とした場合、敗戦=敗退の危機に立たされる可能性が高い。小久保監督は「大きなプレッシャーはかけたくない」としながらも「当然、彼が軸になる。彼にも軸としての自覚がある。しっかりやってくれる」と、先発陣の最上位に指名した。

 投手陣の大きな柱を失った痛手は否定できない。だが、日本球界を代表する侍ジャパンの投手陣には不安を払拭(ふっしょく)できる力量が十分に備わっている。小久保監督が就任当初から重視してきたのはチームの結束力。単独で戦うのではなく、束になって世界へと立ち向かう姿勢を植え付けてきた。則本は「とにかく与えられたところでやるだけ。プロに入って1年目に日の丸をつけて戦いたいと思っていた。目標を達成できた今、そこで活躍したいという気持ちがある」。菅野も「順調にやれている」と指揮官に報告した。世界一への歩みはより力強さを増した。