<プロボクシング:WBA世界ライト級タイトルマッチ12回戦>◇19日◇東京・ディファ有明◇観衆1700人

 プロボクシング界の世界的プロモーター、ドン・キング氏(76=米国)も、小堀の逆転KO奪取に興奮した。契約選手のホセ・アルファロ(24=ニカラグア)について12年ぶりに来日したが、試合後はリングに上がり小堀の肩を抱いて「素晴らしいファイト。彼こそ真のチャンピオンだ」と新王者の胸を指さした。

 勝った小堀の防衛戦のオプション(興行権)は、キング氏が握る契約になっている。それだけにマシンガントークも止まらなかった。「パンチをもらっても前に出る、素晴らしいスタイル。ジェームス・ブラウンの歌詞じゃないけど、アイ・フィール・グッドな気分だね」とご機嫌だった。

 実は小堀陣営もひそかにキング氏へのアピールを狙っていた。「夢はラスベガスで(3階級制覇王者の)パッキャオとやること」(田中トレーナー)。スター選手の集う本場米国に進出して、スーパーファイトに参戦することを目標にしている。そのためにキング氏の目の前で、最高の内容で王座奪取することが必要だった。すべてが想定通りの展開になった。

 同級1位のポーラス・モセス(ナミビア)との初防衛戦が有力視されている。キング氏は「東京ドームで興行だ」とぶち上げた。さすがに大げさだが、層の厚いこのクラスで小堀がKO防衛を続けていけば、米国進出も、ドーム興行も決して夢ではない。【塩谷正人】