<全日本:プロレスLOVE

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 両国>◇19日◇東京・両国国技館◇観衆8000人

 全日本の3冠ヘビー級王者・諏訪魔(34)が、新日本の永田裕志(43=新日本)を30分13秒、岩石落とし固めで破り、4度目の防衛に成功した。5月29日の神戸大会の控室で暴行を受けたスーパー・ヘイト(41=本名・平井伸和)が試合後に開頭手術を受ける不祥事を起こし、武藤敬司前社長(48)が引責辞任。現役王者が無期限出場停止になるなどの団体の危機にも、会場には8000人の観客が詰め掛け、リングの上ではエースが踏ん張った。

 リングの上の戦いで、諏訪魔が全日本の危機を食い止めた。最後は岩石落とし固めで、新日本の永田をフォールした。国技館を埋めた8000人の観客から諏訪魔コールが起きる。V4を完勝で飾った王者は「今回のVM(ブードゥーマーダーズ)の件もすっきりした形で終わるのが一番。俺は前に進むだけ。後ろを向いたら平井さんだって喜ばない」と叫んだ。

 先月29日に控室でVMのTARUの暴行を受けたスーパー・ヘイトが、試合後に病院に運ばれ開頭手術を受けた。TARUとともに居合わせた世界ジュニアヘビー級王者の稔、世界タッグ王者のKONO、MAZADAも王座を剥奪され、無期限出場停止処分を受けた。武藤も社長辞任。悪役4人の不在でマッチメークが難しくなり、全員出場のバトルロイヤルを入れてしのぐことが多くなった。

 その事件以来、初めて迎える大会場での大会だった。ファンの批判を受けたことで観客の入りが心配されたが、昨年8月の両国大会と変わらない大観衆が詰め掛けた。観客の斎藤英樹さん(35=会社員)は「観戦していて、不祥事を忘れました」。リングの上からの諏訪魔の戦いはファンにも届いていた。新たに挑戦を表明した真田に諏訪魔は「受けてやるよ。力を見せつけてやる」と宣言した。逆境の中で、真のエースが存在感を発揮した。【小谷野俊哉】