<第4回AKB48選抜総選挙>◇6日◇東京・日本武道館

 柏木由紀(20)は、速報から1つ順位を落とし3位に着地した。だが、涙はなかった。「アイドルという夢をかなえてくださったのは、応援してくださった皆さんのおかげ。順位は1つでも上げたいなと思ってきましたが、私にとってはとても大切な3位。アイドル人生で誇れることだと思います」と前を向いた。

 握手会での丁寧な対応で、昨年3位に飛躍したのは有名だが、柏木の魅力は、そこにとどまらない。ソロ活動に引っ張りだこの人気メンバーの中でも、劇場公演出演回数は常に最多。「演技やバラエティーが得意と言えるメンバーは多いけれど、私は、何よりも舞台で歌って踊ること」。アイドルの軸を全くブレさせないことが、柏木のこだわりだった。

 AKB48の劇場公演の演目は2年間も変わっていない。「マンネリになりがちですけど、私はそれが嫌で、再び歌詞を読み込んで、意味を考え直したり、振りを少し変えたりするんです。それに気付いてくれるファンがいれば、より楽しく交流もできるんです」。

 前田や大島は、女優という夢へのステップとしてAKB48へ入った。柏木は違った。「夢はアイドルだったし、今は40歳になってもアイドルで居続けることが夢」と言い切る。地方の鹿児島で、地味なメガネっ娘だった少女が見てきた夢は、たった1つ。アイドルの王道であり続ける柏木を、ファンが支持するのは、当然だった。「これからは闘争心もありのまま見せていけるような、すてきな女性として頑張っていきたい」。日常のいたるところにAKB48が氾濫しても、柏木は原点の“現場主義”「会いに行けるアイドル」を、今後も追求し続ける。【瀬津真也】