AKB48が2日、東京・秋葉原のAKB48劇場で8日ぶりに劇場公演を再開した。5月25日、川栄李奈(19)入山杏奈(18)襲撃事件が起きてから劇場活動を自粛していた。この日、超厳重警備でメンバーとファンの安全が守られた。公演したチームA所属の2人は休演したが、キャプテン高橋みなみ(23)は劇場を守っていく決意を口にした。

 揺れるペンライトの光、劇場の熱気、そしてメンバーの笑顔-。AKB48の原風景が、やっと戻ってきた。開演前、15人の出演メンバー全員がステージに現れた。たかみなこと高橋が「みなさん、ご心配をおかけしました。今日から秋葉原での劇場公演を再開します」と涙ながらに話すと、大きな拍手と歓声が起こった。

 メンバーが心なき者に襲われてから8日。たった8日でもファンやメンバーにとって、永遠とも思える長さだったに違いない。再開のため運営のAKSが万世橋署と協議を重ね、「超」のつく厳重警備態勢を敷いた。劇場入り口には空港と同じ警戒レベルの金属探知機が2台置かれた。入場者はベルトやめがねを袋に入れるよう要請され、ペンライトも分解して探知機を通すという周到さだった。

 場内にも警備の目が光った。スーツ姿の警視庁警察官が6人、場内で警戒に当たった。不審者のステージ乱入を防ぐため、通路やステージ前に鉄柵が置かれた。最前列21席分を空け、ステージ左右の花道は封鎖。警棒を持った警備員も4人配置され、目を見張った。警備員はこれまでの8人から17人に倍増。メンバーたちは厳重に守られた。今後も毎日、厳重警備を行う。

 静養中の川栄、入山は休演した。たかみなは「2人が戻ってくるまで劇場をきちんと守るよう頑張る」と決意を表明。湯浅洋劇場支配人(51)は公演後「2人は元気すぎて怖いくらい」と近況を明かした。「やはり公演が始まらないと、次に行けない」。警察の協力をあおぎつつ無事公演を終え安堵(あんど)した。

 関係者によるとロビーでの観覧、公演後のハイタッチは当面見合わせる。「会いに行けるアイドル」がファンと近づく機会は減った。それでも、たかみなの表情に暗さはない。「やっぱり公演は楽しい、すごく大切な場所だった」。困難を乗り越えファンとの絆を再認識していた。【森本隆】<襲撃事件をめぐる経緯>

 ◆5月25日

 岩手県の握手会でのこぎりを持った無職梅田悟容疑者(24)が川栄、入山らの握手レーンで2人に襲いかかり、頭や手を負傷させ殺人未遂容疑で現行犯逮捕。会場整理のアルバイトスタッフ男性も負傷。3人は盛岡市内の病院に入院、手術を受けた。

 ◆26日

 川栄、入山が退院。AKB48劇場公演の中止が発表された。週末の握手会も延期決定。SKE48、NMB48、HKT48は警備を強化して公演開催。

 ◆28日

 川栄が昼、レギュラー出演しているフジテレビ系「バイキング」に、入山も深夜、ニッポン放送「AKB48のオールナイトニッポン」にともに電話で生出演し無事を報告。グループは事件後初のイベント会見を厳重警備の中で。

 ◆30日

 AKB48劇場での公演が6月2日から再開されることが決定。川栄、入山が所属するチームAの公演。