【ニューヨーク28日(日本時間29日)=近藤由美子】堂本光一(29)が当地の芸術の聖地、リンカーンセンターで行われた主演映画「銀幕版スシ王子!~ニューヨークへ行く~」(公開中)のプレミア試写会に出席した。奇才、堤幸彦監督が演出した奇想天外なすしパフォーマンスの数々で、何度も笑いに包まれた。中でも米を炊いたり稲を育てるシーンは笑いと興味の的になっていた。

 「スシ王子!」を観賞したのはリンカーンセンターの会員を中心としたニューヨーク市民250人。物語は堂本演じる主人公の米寿司(まいず・つかさ)がニューヨークでシャリを極める修行をする設定なのだが、米に関しては米国民も興味津々だった。

 米寿が修業する店では、米粒の弾力性を1つ1つ確認しながら丁寧に炊く。米国でも健康食材として米飯やすし文化は浸透しているが、炊き方のうんちくまで語られることは少ない。研究者のような手つきや視線で米を扱う仰々しさに笑いが起きる一方、「勉強になった」という声もあった。マンハッタンの高層ビルを一望する山間部の水田で田植えから稲への水やりまで手作業で行う場面では、ミスマッチへの笑いとともに「あんなに丁寧に米を育てるのか」と感心する人もいた。

 ビジュアル的に分かりやすいシーンも好評だった。絶品のすしを食べた人の顔から光が出たり、魚の目を見ると拒否反応で米寿の髪が逆立つ特殊効果は爆笑の対象。米寿とすし対決する敵がすしを空中で回したり、米寿が女性入国審査官に空手で戦って入国を迫るアクションは、パフォーマンスの派手さに「オー」という感嘆の声も漏れた。

 堂本が上映前に行われたすしパーティーに一瞬、顔を出すと、すぐさま米国女性がプレゼントを差し出した。堂本は「こういう部分も含めてウエルカムな空気を感じた。エンターテインメントが発展した街だからこそ上から目線ではなく、迎え入れてくれた。劇場で見ることに慣れていて、楽しもうという空気感があった」と声を弾ませた。

 米国公開の予定はなく、観客にも堂本にも貴重な上映機会になったが「コメディーだから笑いのツボが違うと思うけど、とにかく笑ってもらえて、ふざけていても日本人の精神や文化が伝わってくれれば」と話していた。