【カンヌ(フランス)20日=木下淳】伊藤英明(32)内野聖陽(39)の主演映画「252

 生存者あり」(水田伸生監督、12月6日公開)が、カンヌ国際映画祭に併設されている世界最大の「映画見本市」で初披露された。8月の本編完成を前に特別編集した約5分間のダイジェスト映像を上映。ブース出展している製作の日本テレビによると、米国、フランスなど20カ国以上と配給交渉に入った。

 映画は各国で関心の高い大災害もので、直下型地震と巨大台風に同時に襲われた東京が舞台。「海猿」シリーズの潜水士で人命救助に奔走した伊藤が、今回は新橋駅の地下構内に閉じこめられてしまう男性を演じる。ハイパーレスキュー隊長の兄(内野)の救出を待ちながら、自らも脱出を図る役柄だ。

 マーケット試写には映画を買い付ける各国の目利きバイヤー約100人が詰めかけた。参加者が10人を切る試写会も多い中で異例の注目度だった。地震と巨大台風に続けざまに見舞われた切迫感が支持されたといい、06年の映画「日本沈没」が海外でヒットした状況と似ているという。

 カンヌの映像解禁に合わせて劇中写真も初公開された。普段は多くのサラリーマンが行き交う新橋駅周辺が直下型地震で壊滅した映画を象徴する場面。撮影は東京・調布の関東村に設置された巨大オープンセットで行われ、この写真の地上と地下で伊藤と内野が生き残るために奮闘する。

 現時点でフランスやドイツ、米国、ブラジル、マレーシア、韓国など世界20カ国以上と配給交渉に入っている。原作のないオリジナル作品で認知度はゼロに近かったが、世界最大の見本市でマーケット上映したことで今後も公開国が増えそうだ。カンヌ入りしている日本テレビの佐藤貴博氏は「今回お見せしたのはほんの一部分。本編では台場や汐留も高潮にのみ込まれ、今までの日本映画にないインパクトを世界に与えるはず」と自信を見せていた。