直下型地震と超大型台風に襲われた東京のパニックを描く映画「252

 生存者あり」(水田伸生監督、12月6日公開)の完成会見が16日、都内で行われた。未曾有の災害にハイパーレスキュー隊が立ち向かう作品。高潮の直撃を受けた台場のフジテレビ本社が壊れる映像が盛り込まれるが、製作したのが日本テレビとあって取材陣は興味津々。両局のライバル関係をあおる質問も飛び出した。

 劇中で描かれるのは、フジ名物の球体展望台が無残に海に浮かぶ場面だ。高潮を受けて同局ビルから分離したもので、これを試写で見た記者から「同じレスキューではフジの『海猿』があります。そういえば、フジの局舎も壊れますよね」と突っ込まれると、主演の伊藤英明(33)は苦笑いした。

 同局「海猿」シリーズに主演し、劇場版「LIMIT

 OF

 LOVE

 海猿」は06年の日本実写映画でNO・1の興収71億円を記録した代表作。関係の深い伊藤は「お台場には触れたくないですねぇ。球体とはいえ浮かばないでしょ。監督に悪意があるのかと思った」と笑ってかわした。

 水田監督は「東京が臨海都市であると伝えるのに必要でした。実証を基にした表現ですし、畏敬(いけい)の念を込めて描かせていただきました」と弁解した。

 両局は、映画事業でも視聴率競争でもライバル関係にある。しかし、関係者によると周囲が邪推した悪意は日本テレビにはないという。局舎破壊の映像もリアリティー追求の産物だからだ。

 高潮が押し寄せた場合、東京湾に浮かぶ台場地区に社屋があるフジの方が先に被害を受ける。ただ、その後は、日テレが本社を構える汐留(新橋)も高潮に飲み込まれる。気象庁・太平洋台風センターの監修で綿密にシミュレーションされた予想で、もちろん汐留地区の壊滅シーンもしっかり描かれている。ちなみに、港区全域が被害を受けるため、TBSの赤坂、テレ朝の六本木、テレ東の虎ノ門も含まれるとみられる。

 今回の“破壊騒動”について、フジテレビ広報は「コメントを出す予定はありません」としている。