【ロサンゼルス23日(日本時間24日)=千歳香奈子通信員】第81回米アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した「おくりびと」主演の本木雅弘(43)と滝田洋二郎監督(53)が、ロサンゼルス市内で一夜明けの会見を行った。本木は「(授賞式の)当日よりまぶしい朝に感じた」とあらためて喜びを語った。滝田監督はオスカー像を枕元に置いて眠ったという。

 前日にオスカーを手にした本木は、一夜明けても興奮冷めやらない様子で語りはじめた。「寝不足は続いています。今日も頭の中はモヤモヤしながら起きましたが、昨日より晴れている空を見て、まぶしい朝に感じました」。自身が発案した「おくりびと」が世界に認められた喜びを隠さなかった。

 滝田監督も「日本で大騒ぎになっていると聞いているが、日本の興奮に置いてきぼりにされている感じ。ただ幸いにも朝起きたら枕元にオスカーがあったので安心した」とユーモアをまじえて語った。

 ただ、浮かれてばかりではない。本木は「矛盾したタイプの人間なので、ご褒美をもらうとか、褒められるとかしてもエサにならない」。43歳。役者としても人間としても悩んでいた時期の受賞でもあった。「役者として熟成して次のステージに進まないといけない。これが次の扉を開く起爆剤になればと思う」。アカデミー賞という重みを力に変える決意を語った。

 欧米メディアの注目度も高まっている。23日付のロサンゼルス・タイムズは「驚きの受賞作」との見出しで記事を掲載。ロイター通信も「番狂わせ」とし、英BBCの電子版も「サプライズ」だったと報じた。また、5月からの全米公開も当初は10都市程度から始まり徐々に拡大する予定だったが、今回の受賞を受け大幅拡大することも視野に入っているという。「おくりびと」が本当に世界を驚かせるのはこれからのようだ。