第23回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)の授賞式が28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われ、山田洋次監督の「おとうと」で助演女優賞を受賞した蒼井優(25)は山田作品に初出演した喜びを語った。「不安だったが、賞をいただけて、みなさんに少しだけ恩返しができたかな」と謙虚に振り返った。夢だった同監督のもとでの演技で女優としての成長も実感した。

 蒼井は初めて挑戦した“山田学校”で女優としての手応えをつかんだ。「山田監督の作品が大好きで出演するのは夢だったんですが、山田学校で私は新入生で、一番の劣等生でした」。謙虚な言葉を並べたが「お芝居で応えることができたのかすごく不安だったので、こうして賞をいただけて、みなさんに少しだけ恩返しができたかな」とやっと安堵(あんど)の笑顔を見せた。

 授賞式の前、作品賞を受賞した李相日監督と再会した。2人は4年前の授賞式でも顔を合わせている。李監督は「フラガール」で作品賞を受賞し、蒼井は同作で新人賞に選ばれた。「前回も同じ場にいられて、今回は別々の作品だけど、同じ周期で受賞できましたねって話しました」。東映の高岩淡相談役にも「05年に『男たちの大和/YAMATO』に出演していただいた。こんなに大人になったのかと驚いた」と声をかけられた。

 出演オファーは絶えない。年が明ければ、今回主演男優賞を受賞した妻夫木聡と共演する舞台「南へ」(2月10日~3月31日、東京芸術劇場)に全力投球する。舞台への出演が映画にも好影響を与えているという。「今まで舞台はあまりやってこなかったんですけど、映画では気付かなかった芝居のクセや考えの足りなさが分かるようになって、両方にうまく還元できると信じてるんです」。そう言って、足早に舞台のけいこ場に向かった。【今西孝江】