日本が世界に誇る怪獣「ゴジラ」が、全米を席巻しています。16日に北米で公開されたハリウッド版「GODZILLA」は、初日だけで3850万ドル(約39億円)を稼ぎ、公開3日間で推定9320万ドルを上回る興行を記録。全米各地の劇場では、ゴジラがスクリーンに登場すると場内は熱狂の声に包まれ、見せ場のバトルシーンでは「イエス!」と叫びまくる盛り上がりぶり。「ゴジラが全米各地で大暴れ」とメディアも報じ、早くも続編制作やシリーズ化の企画も浮上していると言います。

 「ゴジラ」は日本で映画化されて今年で60年。ハリウッドでも98年に映画化されましたが、「怪獣」に対する概念の違いなどもあり、イグアナをモチーフにデザインされた当時のゴジラは、まるでトカゲのようなルックスで、日本のファンからは大きな失望の声があがりました。しかし、今作はそんな心配は不要。ゴジラの大ファンを公言するギャレス・エドワーズ監督は、第1作「ゴジラ」(54年)の精神を直に受け継いでおり、随所にオリジナルへの敬意が感じられます。気になるビジュアルですが、日本では「太りすぎ?!」とも言われているようですが、ゴジラ映画史上もっとも大きな108メートルの体長で骨太マッチョな肉体は迫力満点。CGですが、着ぐるみゴジラのテイストも充分に残されています。作品としても、単なるモンスターパニック映画ではなく、ゴジラは悪者を倒すヒーローとして描かれ、最大の見せ場であるバトルシーンも迫力満点。ゴジラがスクリーンに登場するまでの前半のストーリー展開と緊迫感の持たせ方はお見事で、誰もが「いつゴジラが現れるのだろう?」と期待が膨らんだところで、満を持して海面から背びれが見えてゴジラの登場となります。また、「ジュラシック・パーク」を観た時のような衝撃と称するファンも多く、ハリウッドならではの度肝を抜くスケール感もヒットの原動力となっているようです。

 東日本大震災や原発事故を彷彿とさせるシーンも登場するので、日本では波紋を呼ぶことも予想されますが、現代の日本が抱える放射能問題や反核などのメッセージは、社会が抱く恐怖をゴジラが体現するというゴジラ映画の原点ともいえます。待望の日本公開は7月25日です。

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