死人の脳から記憶の映像を取り出して、犯罪捜査に役立てる。ほんまにできたら画期的や。犯人は一発でわかるし。でも、オレは嫌やぞ。××な妄想まで暴かれたら、死ぬほど恥ずかしいがな…ん? 死んでるからええんか? 絶対的有益性と倫理面の二律背反するテーマが映画のミソです。

 MRI捜査を導入した警察庁の特別機関・通称「第九」の室長薪(生田斗真)と新入り青木(岡田将生)は死刑囚(椎名桔平)の脳から、行方不明の長女絹子(織田梨沙)を捜そうとする。出てきた映像には刃物を振り上げる絹子が…。絹子は記憶喪失になって発見された。謎を追う中で、獄中死した28人殺しの凶悪犯・貝沼(吉川晃司)の存在が浮かび上がる-。

 CGを大胆に取り入れた映像は「るろうに剣心」の大友啓史監督らしい。重層的で分厚いストーリーを表現するのに必要なキャストには実力派が並ぶ。特に怪奇ヒールの吉川や、やさぐれ感が漂う役の大森南朋はやっぱりええわ。

 注目は絹子役の織田梨沙ちゃん。周囲を見下すような目つき。怪演の似合う若手女優が、雨後のたけのこみたいに出てきよるわい。【加藤裕一】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)