宝塚歌劇団宙組の6年目男役、桜木みなとが、宙組ミュージカル「白夜の誓い-グスタフ3世、誇り高き王の戦い-」の新人公演で初主演する。同公演は、本役のトップ、凰稀かなめにとって退団公演。スタイリッシュな先輩の立ち姿を学び、あこがれの俳優唐沢寿明のような“存在感”を出そうと、けいこに励む。公演は、来年1月29日に東京宝塚劇場で行われる。

 桜木が初主演の抱負を語った。「凰稀さんご卒業の公演で、前回ディナーショーもご一緒でしたので、立ち姿、歩き方、しぐさ、すべてを盗みたい。おけいこ場での椅子の座り方ひとつ、マントのひるがえし方まで、何もかも格好いいので」

 今作は貴族から特権を奪い、内政を改革し民衆に愛されたスウェーデンの名将、グスタフ3世の生涯を描く。本役の凰稀は、抜群のスタイルを生かした軍服姿でファンをうならせ、着こなしが難しい宮廷服でも美しさを保っている。本公演ではその凰稀の部下を演じ、日々、男役としての振るまいを吸収。役柄については「異端であって、革新的な王様」ととらえる。

 「私自身、同期の間でも『自由人』みたいに言われ、ちょっと異端なところも(笑い)。怒られることも結構あって…。でも、私は押しが弱いとよく言われるんです。もっとアピールする欲を持ちなさいって。この機会に強くしたい」

 在籍する宙組はトップ娘役の実咲凜音が同期。ほかにも、月組トップ娘役愛希れいか、男役ではすでにバウホール主演も経験した星組の礼真琴、花組の柚香光らも同期。黄金世代の95期だ。かわいさと格好良さの同居が桜木の魅力だが、アピール不足を痛感している。

 「私の宝塚ルーツは姿月あさとさん。歌が本当に素晴らしくて、そこを目指したいと思っています。よく『スッキリしちゃっている』と言われるので、芝居心も磨きたい。芝居心は歌にも通じますから。武器は、笑顔です。笑顔は、誰にも負けません!」

 そう笑った桜木は、ふと表情を引き締め、参考の男優に唐沢寿明をあげた。

 「独特の格好良さと存在感があり、実際の体形よりも、もっと大きく見える。インパクトがあるといいますか、私もそうありたいです。(長身ぞろいの)宙組では(身長170センチと)小柄な方なので、私は、より頑張らなきゃいけない。見習いたいです」

 自分を客観視できることも武器。宝塚次世代を担う黄金同期に負けない、さらなる成長を誓う。【村上久美子】

 ◆ミュージカル「白夜の誓い-グスタフ3世、誇り高き王の戦い-」 貴族政治からの脱却を図り、内政改革などで名将として知られるスウェーデン国王、グスタフ3世の生涯を描く。

 ☆桜木(さくらぎ)みなと 12月27日、横浜市生まれ。09年、宙組公演「Amour それは…」で初舞台。宙組配属。新人公演は、昨年9月の「風と共に去りぬ」でアシュレ、今年5月の「ベルサイユのばら-オスカル編」でジェローデル。8月には凰稀かなめディナーショーに出演。身長170センチ。愛称「ずん」。