宝塚歌劇団トップスター明日海りお率いる花組公演「ミュージカル カリスタの海に抱かれて」「レヴューロマン 宝塚幻想曲」が13日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。トップ娘役の花乃まりあとの本拠地お披露目となった。

 同作は、「ふたりっ子」「功名が辻」などを手掛けた脚本家の大石静氏が、11年「美しき生涯」以来、宝塚では4年ぶり2作目の書き下ろし。初日午前のけいこ、本番ともに、大石氏も観劇し、明日海・花乃の新コンビに「あの2人はいいコンビですね」と話した。

 今作では、地中海のカリスタ島を舞台に、島を統治するフランス軍将校として、故郷に戻ったシャルル(明日海)の独立への闘い、島の女アリシア(花乃)との愛を中心に描く。

 大石氏は明日海のトップお披露目だった前作「エリザベート」も観劇しており、執筆にあたり「前回が(死に神トート役だけに)喜怒哀楽のない役だったから、明日海さんには冷静な顔と温かい顔、聡明(そうめい)な顔とかわいげ、といったいろんな顔を演じてもらいたかった」と説明。優秀な将校ながら、恋には不器用で、友情に実直な青年役を、明日海に向けて、あて書きをした。

 明日海も「大石先生は、宝塚が好きでいらっしゃるので、台本を読んで胸がキュンキュンした」と話しており、今作で新たな引き出しを増やしたいという。

 明日海演じる主人公の親友で、花乃演じるヒロインをめぐり三角関係になる青年役は、元阪急エース山沖之彦氏の娘で9年目に入る芹香斗亜。劇中で唯一の実在の人物ナポレオンには、7年目に入る柚香光がふんした。後半のショーでも、トップ明日海を芹香、柚香が中心となって支え、リフレッシュされた新生花組をアピールした。

 見守った大石氏も「将来に向けて、もっともっと頑張ってほしい」とエール。自らは「幼稚園のころから50年来のファン。寿美花代さんの時代から見ていた。那智わたるさんが好きでした」といい、宝塚を「きらびやかで、世界のどこにもない劇団。キラキラ感が日頃の憂さを晴らしてくれる」と見る。「またぜひ(脚本を)やってみたい」と話していた。

 宝塚公演は4月20日まで。東京宝塚劇場は5月15日~6月14日。