『ヒート』(95年)や『コラテラル』(04年)の巨匠マイケル・マン監督5年ぶりの最新作『ブラックハット』(5月8日日本公開)で、犯人捜査にあたる天才プログラマー役を演じるクリス・ヘムズワース(31)が、本作の役作りについて語った。

 タイトルの“ブラックハット”とは、コンピューターやネットワークへ攻撃を仕掛けるハッカーのことで、クリスが演じる主人公ハサウェイはかつて“ブラックハット”として知られていた天才プログラマーであり、現在は収監されている囚人の身。しかし、正体不明、目的不明の犯人に迫るため、警察はハサウェイに捜査協力を依頼し、共に正体不明、目的不明の犯人を追う事になる。

 天才プログラマー役に選ばれたヘムズワースだが、パソコンの扱いにまったく慣れていなかったそうで、「僕のタイピングなんて、こんな(両手の人さし指1本ずつでキーボードをたたくマネ)レベルだったんだ!」と、その当時を思い出しながら、「脚本を読んで作品のテーマにひかれたんだ。現代社会に生きる僕たちが、いかに無知であるかというテーマにね」と出演を決めた理由を説明する。

 肉体的なトレーニングはもちろんの事、今回は服役中の囚人という設定だったため、実際に刑務所にも足を運んでリサーチを行った。「刑務所をいくつも訪ねては受刑者と話をした。刑務所暮らしがどんな影響を及ぼすか、何が彼らを犯罪に駆り立てたのか、後悔の念はあるかなどを知るためにね。姿勢や考え方は受刑者ごとにかなり違ったけど、共通して感じたのは、刑期に振り回されていないという点だったね」。

 さらに自身が演じるハサウェイをいう役について「いろいろなものを抱え込んだ複雑な男で頭脳明晰(めいせき)。そして正義と悪とのはざまのグレーエリアにいる。自分の所にいきなりFBIがやってきて『協力するなら刑務所から出してやる』と言うんだから、当然、何かが変だと思うよね。でも彼はそれを出所への切り札として利用するんだ。」と説明。そして、「この映画はアクションとスリラーが合体している上に、ロマンスと人間ドラマの要素も絡んでる。主題は極めてタイムリーだし、それをこれほどまでに詳しく描いた映画は初めてだと思うよ」と本作への自信をみせた。【ハリウッドニュース編集部】