大阪・吉本新喜劇の座長を務める小籔千豊(41)が25日、都内で東京公演の会見を行った。昨年に続く上演となるが、劇場規模は3倍に拡大する。タレントとして東京進出して4年。テレビ各局から引っ張りだこの状態で、今やすっかり全国区の人気者になった。座長の大ブレークが、念願の「新喜劇のメジャー化」の追い風になっている。

 小籔は会見場に集まった報道陣の数に驚きを隠さなかった。「新喜劇の公演でこんなにマスコミに囲まれるなんて思っていなかった」。8月18日から同22日まで行う東京公演は、昨年に続く2回目。昨年は300人収容の俳優座劇場で上演し、6公演で計1800人を集めたが、今年は規模を大幅に拡大。800人収容のサンシャイン劇場で7公演を行い、5600人を動員する予定だ。「(吉本の)社員と肩寄せ合って震えている」と笑わせたが、「東京も大阪も笑いのツボは変わらない。去年もシャレにならんくらいウケた。ちょっと面白い後輩やベテランを連れてきます。自信がある」と胸を張った。

 座長人気が東京公演を後押しする。東京での知名度が低かったことから、フジテレビ系「人志松本のすべらない話」など人気番組に出演し始め、現在のレギュラー番組は東西合わせて11本で東京で6本持つ。13年からフジテレビ系「ノンストップ!」(午前9時50分)、昨年から同局系「バイキング」(正午)などの生放送番組の曜日レギュラーに起用され、持ち前の毒舌を発揮。各局のバラエティーや情報番組などにゲスト出演し、テレビ画面で見ない日はないという売れっ子になった。この日も「自分は今、一番売れている」と実感を口にした。

 キャリアわずか5年だった06年に、32歳で史上最年少座長に就任した。11年に「新喜劇を東京にも広めたい」と東京に移籍を決意。舞台出演などのため、妻子を残した大阪と行き来しながら、東京でテレビ出演を続け、「広報マン」として新喜劇の知名度を上げてきた。規模を拡大する今回の東京公演については、「お客さんが入らなければ、全部僕のせい。『売れてテングになった』と言われるのは覚悟している」と言い切り、懸命に取り組んできた座長として強い気持ちを言葉にした。関西の伝統芸「吉本新喜劇」の本格的な東京進出という野望が実現するか。今回の舞台と今後の小籔の活動が注目される。

<小籔千豊アラカルト>

 ▼生まれ 1973年(昭48)9月11日、大阪市。

 ▼コンビだった NSC大阪校12期生で、93年に漫才コンビ「ビリジアン」を結成も11年に解散。

 ▼受賞歴 06年に「上方お笑い大賞」の話題賞と「上方演劇大賞」の脚本賞。

 ▼音楽フェスティバル開催 08年から14年までお笑い芸人が多数出演する野外音楽フェスティバル「コヤブソニック」を開催。

 ▼俳優 NHK連続テレビ小説の04年「わかば」や13年「あまちゃん」に出演して独特の存在感を発揮。映画は「学校2」など山田洋次監督作品に多数出演。