「エイケン」などの作品で知られる漫画家の松山せいじ氏とのギャラ不払い問題について、アニメなどのクリエーターを育成する専門学校「代々木アニメーション学院」(以下、「代アニ」)が公式見解を発表した。

 松山氏は24日深夜から自身のツイッターアカウントを通じて、自身の出身校でもある同校とのトラブルについてツイートを連投。08年に同校の職員からメールで仕事依頼を受けたが、相手への信頼もあり、契約に関して書面を交わすことはなかった。ギャラの振り込みに当たって初めて「請求書を出してほしい」と同校の職員から伝えられたが、請求書の書き方を知らなかった松山氏はそのまま後回しに。14年9月になってギャラのことを思い出した松山氏は同校に連絡をとったが、現在支払いについて双方の考えがぶつかりあっていることを明かした。「代アニ」側は、当時の正式な書類がなにも残っていないため、ギャラの金額を「解決金」の名目で支払うことを提案したそうだが、松山氏は「やった仕事を無かったことにするのは、漫画家に対しての最大級の侮辱であります」と「代アニ」の対応に怒りを示していた。その後、松山氏は「自分の反省すべきところも大量に見え、代々木アニメーション学院の関係各所、および引用元などに多大なご迷惑をおかけしたことを謹んでおわび申し上げます」と謝罪した。

 この騒動が注目を集めるところとなり、「代アニ」側も公式見解を発表。当時の職員への聞き取りなどから、松山氏のイラスト作成の事実は確認できたが、ギャラを支払う根拠となる契約の存在、内容や支払いの有無までは確認できなかったと報告。さらなる問題として、「9年前の事象であるため、税法における帳簿書類等の保存期間である7年間を経過しており、帳簿書類等を確認することができない」「既に時効期間である5年間が経過している」の2点を挙げている。そのため、「当学院は、多くの利害関係人が存在する法人組織であります」と前置きしたうえで、「契約書、請求書はもちろん、取引に関連して作成された資料も一切なく、しかも、法的にみれば時効期間が経過している報酬のお支払いをすることは、当社の資金管理の面でも、また、コンプライアンスの面などでも問題が生じることとなります」と説明した。

 だが、「代アニ」としては、「大切な卒業生の一人」である松山氏と険悪になることも望むところではないそう。そのため「解決金」の名目で松山氏の請求する金額と同額を支払うことや、松山氏にツイート内容の訂正と謝罪を掲出するよう提案したとして、「決して過去の仕事を認めないなどという意図ではなく、当学院として取り得る最大限の配慮をさせて頂いたものと考えております」と説明した。