サザンオールスターズが18日、全国ツアー「おいしい葡萄の旅」最終公演を日本武道館で行った。同所公演は22年ぶり。ボーカル桑田佳祐(59)は自分の音楽の原点でもあるザ・ビートルズの名曲をサプライズ披露してファンを喜ばせた。

 ライブ中盤、桑田が切り出した。「日本武道館と言えば、ザ・ビートルズでございます。今から49年前、私が小学校5年の時に初来日公演がありました」。さらに「うちの姉貴が『武道館のチケットが抽選で当たるから』とか言ってライオンの歯磨きをたくさん買ってきまして」と回想した。

 続くメンバー紹介もビートルズを意識した。ドラム松田弘(59)が「リンゴ・スターです!」とあいさつ。続けてキーボード原由子(58)が「ジョン・レノンの恋人、小野妹子で~す」と笑いを誘った。ムードが高まったその瞬間、桑田が叫んだ。「ヘルプ!」。ビートルズの名曲「HELP!」をサプライズで歌った。桑田は大歓声を浴びると「これが一番楽しかったかも」とおどけた。

 サザンは、93年2月に同所で3日間公演を開催したが、収容1万2000人の会場規模は、日本トップクラスの人気を誇るスーパーバンドには、少々手狭だった。スタジアムツアーを続けてきたが、今年はツアー日程の決定後、桑田らメンバーの発案で、ロックの聖地、武道館の追加公演が実現。こだわった背景にはビートルズの存在があった。

 4月から始まったツアーは、22年ぶりとなった夢の一夜に、伝説のバンドの名曲を聖地に響かせ、ファンと喜びを分かち合いながら幕を閉じた。【横山慧】