俳優成田凌(30)が、映画「雨の中の慾情」(片山慎三監督、11月29日公開)に主演することが29日、分かった。ほぼ全編で台湾ロケを敢行した日本×台湾共同製作作品で、成田は貧しい町に住む、売れない漫画家を演じる。中村映里子(35)森田剛(45)の共演も発表された。

アジア映画で史上初めて米アカデミー賞作品賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督の助監督として研さんを積み、19年公開「岬の兄妹」で日本映画デビュー。「さがす」「ガンニバル」でも高い評価を得た片山監督が、つげ義春氏によるシュールレアリスム作品の同名原作を映画化した。

2人の男と1人の女の切なくも激しい性愛と情愛が入り交じる、数奇なラブストーリーを描く。衝撃的なオープニングから一見不可解な描写の全てまで伏線となり、かつてない映画体験へとたたき込む一作が誕生した。

昭和初期の日本を感じさせる、レトロな町並みが多い台湾中部の嘉義市の情緒あふれる映像世界も同作の魅力。成田は「数年前に企画書をいただいた瞬間の景色をいまだに覚えています。高ぶる感情を抑えられなかったのも」振り返った。

その上で「日々が苦しく、楽しく、なんとも幸せで、気づけばこの作品にのめり込んでいました。どこへでも連れて行ってくれるようなスタッフと、どこまでもつながれている気になってしまったキャストと、なかなか壮絶で、凄絶(せいぜつ)で、濃密な毎日を過ごさせていただきました。公開が近づいてきた喜びや期待、願いなど、さまざまな感情がありますが、とりあえず『なんかすごいのできました』って感じです」とコメントした。

中村は「片山慎三監督のユーモラスで奇異な演出、果てしない才能に驚嘆する毎日、多士済済の片山組。強烈に面白く楽しい撮影でした。私の中の野性が大喜びしていたのだと思います。すべての人間を祝福してくれるような作品になっていればと願っています」。

森田も「片山監督の岬の兄妹が好きで、今回参加出来ることがうれしかったです。台湾でのロケは、何が起こるか分からないヒリヒリした緊張感のある現場でした。この作品の生々しい異世界を楽しみにしていてください」とアピールした。